昭和歌謡宅急便 Ⅱ  〜重箱の隅つつき隊〜 第9回


やたら支配から卒業したがる思春期の反抗心においての一考察

田中 稲
(第11号で「大阪から来た女」執筆)
 
 
 

さて、みなさん。全てがもどかしい青い春、思春期はいかがお過ごしだったでしょうか。
私は地元でも有名なワルでした。
すぐにキレることから「カミソリの田中」と恐れられていたものでございます。

んなワケねーしー(泣)。
休憩時間はおとなしーく本を読み、おとなしーく美術部で油絵を描き、家に帰ったら部屋の端で三角座りしてさだまさしをエンドレスリピートで聞く、ネクラ文系な思春期でございました。

さて、今日の重箱の隅のテーマは「思春期の反抗心」。
いや、もうハッキリ言って切ってしまいましょう。「尾崎豊論」と!!
 

 

何でいきなりこのテーマなんじゃい、と訝しげに思われる方も多い事でしょう。理由は非常に簡単でございまして、先日流れた、永遠のリーゼント・ガイ・嶋大輔さんが芸能界を引退し、政界への転身を匂わせるニュース。それをきっかけに我が事務所で

「嶋大輔→男の勲章→横浜銀蠅→リーゼント→ツッパリ→反抗期→尾崎豊」

と連想ゲーム的に話が飛び火したのでありました(よくあるよくある)。

とはいえ、尾崎豊をネットで語るなど、ライオンの尾をグリグリと踏むようなもの。それは重々分かっております。ファンにとって尾崎はカリスマ、いやさ神。彼の歌に物申すのはとても勇気がいるのです。
友人同士が尾崎の歌を巡ってケンカし本当に絶交したということもあり(←実話。まさかと思った)。私はいるかいないかよく分からないけれどきっといると信じたい数少ない熱心な読者すらこの尾崎論で無くすかもしれません。

それを踏まえたうえで、彼の歌の主人公の印象を語らせていただくと。

ちょーいーと暴れ過ぎじゃねーかなー(超恐る恐る)。
なんちゅうか、リフレッシュが下手っぽい。。。

いや、頑張ってるのは分かるんですよ。ピンボールのハイスコア競い合ったり、くだらない事を大げさに話し続けたり、恋人と子猫のように抱き合ったり、いろいろ気晴らしをなさってる様子は出てくるんですが。
もっと豪快に、ホレ(汗)。美味しいラーメン食べに行くとか! ボクシング習いに行くとか!

おっ、そうだ。激しい運動をすればよいのでは(あああファンからそんな問題じゃないッ、という怒りの声が聞こえる)体をヘットヘトに動かして疲れたら、「僕が僕であるために」などミョーに哲学的な事を考えずスカーッと眠れるぞ、きっと。バイクに頼らず、2駅程度なら徒歩移動を心がけてみてはいかがだろう!

……と言っても時すでに遅し。尾崎の歌の主人公は、大人からの支配から卒業すべく有り余るパワーの矛先を社会の共有物に向けます。盗んだバイクで走り出し、教室の窓ガラス叩いて壊して回るわけでございます。

 
 

 
 

んむー。若い頃の鬱屈が良く出たシーンではありますが、「盗まれた側」の立場に立つと迷惑極まりなし。
むっちゃ頑張って働いて貯めたお金で買ったバイクだったらどーするの! そのバイクで実家に帰って親孝行しようと思ってるかもしれないじゃん!

これ、けっこうツッコむ方が多いようで、調べたら「15の夜」の被害者的立場に立った歌を実際作った芸人さんがいた! マキタスポーツという方で、題名は「尾崎豊「15の夜」もう1つの物語」。ネットに掲載されていた歌詞によると「15の夜」で盗まれたバイク、実は

「59歳の教員が退職金をつぎ込んだ宝物。彼は定年後の趣味としてツーリングするのが楽しみ。そのため、この齢になって必死で教習所に通い免許を取ったばかり」

という設定。

クウッ。涙でパソコンが見えん。見えんぞッ!!!
尾崎豊をどうしても受け入れられない、という事務所の先輩もやはり

「未成年による若気の至りとはいえ、犯罪を美化して歌うのはいかがなものか」。

というご意見。歌の情緒や浪漫が台無しになるほど正論すぎますっ(泣)。
ちなみに先輩は「成りあがり」の初版を買ってページがベロベロになるまで熟読した、という筋金入りの「YAZAWA(矢沢永吉)世代」。

 
 

 
 

夢を実現させるため一心不乱に行動する永ちゃんの背中を追いかけてきた先輩にとって、生きる不条理を自問する歌自体

「なんでそこまでスネスネした気持ちを共有したいのかサッパリわからん」

と理解不能なようです。うむー、なるほどぅ。さすがロケンロージェネレーション…。
しかし、これだけ尾崎を「苦手」としながら、「嫌い」になれないのが尾崎のカリスマ所以。
気が付けば、先輩も私も、尾崎について熱く熱く語り、ついつい歌の一部を口ずさんでいるではありませんか。うむう。尾崎イズムの伝染力、ハンパありません。

「尾崎も別にここまで反抗の代名詞、みたいになるつもりは無かったと思うねん」
「ああ、イメージが独り歩きして苦しんだ、みたいな記事よくありますよね……」
「〝オトナに物申す″キャラで熱狂的な支持得たからなあ。それをキープするの、しんどかった思うわ。尾崎がMCで『いや〜、オレももうオトナやし。反抗とか孤独とか歌ってきたけど、そろそろ社会性や人脈作りも大事なんちゃうかなて思いはじめてる!』とか言ったらそれこそ暴動モンやろ」

……ぬーん。
ま、まあ尾崎が大阪弁を使うかどうかは別として、確かにファンは拒否反応示すだろうなあ。
「そろそろ長いもんに巻かれる事も覚えんと〜」
とかいって、ゆるキャラと並んでスウィーツ食いつつCMソング笑顔で歌う尾崎も想像できんしなあ(汗)。

ただ、彼が生きていれば48歳。
年相応に落ち着いて好きな音楽活動ができるようになっていたら、どんな歌を歌ってくれたことでしょう。
「15の夜」や「卒業」を照れ笑いしながら「懐かしいね」なんて歌う尾崎を想像すると、特別なファンでない私ですらも、目の奥が熱くなってしまうのです。

余談ながら、1つカミングアウトしましょう。
尾崎の超名曲「I LOVE YOU」が大嫌いだった私。理由? へっ、簡単至極でございます。
この世に二人しか存在しないような! 俺たちの事は誰も理解できないぜ的な!!しかも自分たちを「捨てられた子猫」と例えるあたり、んもう自己陶酔の極みちゃうーん。バカップル腹立つ―。彼氏がいるのがそんなに偉いんかー(泣)と半ば方向性を間違えつつヤサグレ聞いていた私ですが。

社会人になり、好きな人にカラオケで歌われてから大好きな1曲となりました。
あーはーはーはー(←あまりにもチョロイ自分に対する嘲笑)

第三者目線だとこれ以上恥ずかしい歌詞はねえッと拒絶した歌詞が、当事者目線で聞くとこんなに超気持ちえー歌詞は無いと知りました(照汗)。
あの時のハートずっきゅん心ウルウルな気持ちは忘れません。ありがとう、尾崎!!
で、その人にかなりボロボロにフラれて、現在ではこの曲、私の中でビミョーなトラウマソングに属しております。どうしてくれる、尾崎!

…とまあ、賛も否もある尾崎談議で盛り上がったのは良しとして。
お題のきっかけとなった嶋大輔アニキについて、ほぼスルーというのが申し訳ございませんッ。

せめて締めにご紹介。ででんっ。
あえて「男の勲章」ではなく若き日の杉本哲太氏とのタッグ「大輔☆哲太のロックンロール」ジャケットをご覧ください!(プラスワン扱いのプリティーボーイも笑顔がステキ! しかし一体誰……)
見よ、若人。これが昔の不良ファッションでござます。頭スゴイだろー。
 
 

 
 
 
 
-ヒビレポ 2013年5月28日号-

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