昭和歌謡宅急便 Ⅱ  〜重箱の隅つつき隊〜 第11回


名前のイメージについての一考察

田中 稲
(第11号で「大阪から来た女」執筆)
 
 
 

さて、みなさん。自分の名前について
「うーむもうちょっとオサレな名を付けてほしかった…」
と思ったことはありませんか。
私はあります……。

なにせ私の本名は「田中康子」。地味。果てしなく地味。
自慢じゃありませんが、役所の紙面記入の例にもなっていたこともございます(ありゃビックリした……)。

まあ、作家&元長野県知事の田中康夫氏と一文字違いということで、名刺を出せば
「おお! なんとなくクリスタルですね!」
と話が弾むきっかけをゲットできるという思わぬ効果もあり、まあいいのですが。
 

 

オカンに聞いてみると本当は
「月のように魅力的な子という意味で『月子』になる予定だった」
というではありませんか。それでよかったんちゃうん!「月子」で決まりでッ。それがなぜに「康子」に!?
理由は簡単。私が1か月の早産、しかも超未熟児で産まれたということで、

「もう多くは望まん。健康に育てばいい。『康子』でファイナルアンサー!!」

オトンが瞬時に方向性をチェンジ。
くっそう。オカンの腹から早く出過ぎたばかりに(ハンカチ噛み噛み)。
まあ、健康でさえあればとりあえず命名の意味は果たせるということで、ハードルはものっすごい下がりましたよね。ええ。。
それに昭和は、私の例に漏れず、女の子はほとんどに最後に「子」がつく単純な名前がほとんどでございました。その素晴らしき歴史的資料が中島みゆきの名曲「あの娘」。
 

 

「似たような名前」ということで、

「ゆう子あい子りょう子けい子まち子かずみひろ子まゆみ!」

と当時の代表的な名前がツラツラとみゆき嬢のヤサグレ声で連呼されます。
見よ。「子」の優勢っぷりを!
ところが。最近の名前は「子」があまりにも少ない。知り合いの子供にもほとんどおらん。
参考がてらに名前ランキングを調べてビックラしました。平成ネームすごいぞ!

1位:結衣
2位:陽菜
3位:結菜
4位:結愛・ひなた・心春
7位:心愛
8位:凜
9位:美桜・芽依・優奈・美結・心咲
(参考:明治安田生命2012年名前ランキング 女の子)

よよよよ読み方が半分以上わからんぞ(困惑)。
ゆいあい? こころはる?? こころさく???
(正解:結愛=ゆあ 心春=こはる 心咲=みさき だそうです)

んもう「本気」と書いて「マジ」と読む、「彼女」とかいて「アイツ」と読むの世界じゃございませんか!
想像した以上に世の名づけのキラキラ化は進んでいるようです(汗)。

それに比べ、昭和は名前のバリエーションが少ないゆえか、世間が抱く名前のイメージも固定しておりました。
ヤサグレホステスはだいたい「アケミ」、小悪魔的コケティッシュガールは「ユミ」や「マコ」「サキ」。家出娘は「ヨーコ」。男運が悪いワケありレディは「ゆうこ」。

特に「ゆうこ」は男の「俺が守ってやりたいぜ!」的騎士心を存分にくすぐる名のようで、多くのアーティストによって歌い継がれております。
増位山太志郎は「暗い過去を持つひとりぼっちのゆうこ」に惚れ(「そんな夕子に惚れました」)、村下孝蔵はピアノを弾きながら「ショパンは恋ができない私にお似合い…」と寂しく笑う「モナリザのようなゆうこ」に惚れ(「ゆうこ」)。
 

 

ぬうう。しかし老婆心ながら突っ込ませていただくと、こういったタイプに引き寄せられる男に限って、「相談に乗るよ」「僕が忘れさせてあげるよ」とかあーじゃこーじゃと面倒見た挙句、当の「ゆうこ」から「そばにいてほしいのはあなたじゃないの」とカウンターパンチ食らうんですわ! ネガティブな色気を持つ女は要注意ですぞ! がうがう。(←田中さん嫉妬でモノ言ってますよねという突っ込みは無しでお願いします)

「ゆうこ」と並んで薄幸路線モテ系ネームが「さちこ」。ばんばひろふみは「幸せの子という名前は皮肉…」と寂しそうに笑うSACHIKOに「叶わない恋でもいいからそばにいる」とまで惚れ込み、ニックニューサーは黒髪の「サチコ」を暗い酒場で延々待つのです。
どうやら「さちこ」には男をストーカーに変貌させる魔性の魅力があるようです。うーむ、あやかりたい!

 

 

だれか「YASUKO」とかいう歌を作っていただけないでしょうか。
髪振り乱してトルコ行進曲弾きながら
「恋? はっはっは。なにそれおいしいの?」
とか笑い飛ばすイカれたヒロイン像でもけっこうですので。ええもうそれでじゅうぶんですので!

ちなみに、私の「田中稲」の「稲」のペンネームの由来は、名字の「田中」から、田んぼの中で実るのは稲、という田舎モン丸出しなシャレに加え、本名と同じく総画25(姓名判断で最高の画数らしい)だったので決めたのですが。

最近になって「田中稲」がまさかの総画24画であることが発覚(号泣)。

ぐあああ、数えまーちーがーえーたー。ばーかばーか、私のバカーー!!
致命的ミスにむせび泣くも時すでに遅し。すでに「田中稲」でガンガン原稿書いちゃってるし。
こうなりゃ「昔の名前で出ています」方式で本名と使い分けるか??

「ヒビレポ書くときゃ稲と呼ばれたの。他の記事では康子なの」

……。
いや、もういい。もういいのでございます。稲でよか! 24画でもよか!
名前の画数に幸運のおこぼれを求めるなんちゅう心がそもそも甘かったと反省ッ。
結局、名前は看板ではあるけれど、一番大切なのはそれを上回ってありあまる本人の個性と努力と心意気。それにつきるんじゃないかと!(ひいぃぃぃここまで名前について語っといてオチがそれ??)

まさかの逆ギレで終わる今回の昭和歌謡宅急便でございました。とほほ。
 
 
 
 
-ヒビレポ 2013年6月11日号-

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