白と黒の報告書 第10回

中央線に聖地あり

木村カナ(レポ編集スタッフ)

阿佐ヶ谷に「ぱんだ珈琲店」なる喫茶店がある。

パンダ尽くしのインテリアにパンダなメニュー、パンダ雑貨の販売も行っている、パンダ好きにとってはたまらない場所である。

数年前になるが、ネットの紹介記事を見て、ひとりでわざわざ行ってみたことがあった。パンダビールを飲んでみた。ラベルがパンダな瓶ビールなんだな。お願いすると、洗ってもらった瓶を持ち帰ることもできる。さすがだな、と思った。パンダグッズと見れば、マイコレクションに加えたくなる、パンダマニアの気持ちがわかってらっしゃる! その瓶は今でも、我が家の台所に飾ってある。

ここのところ、パンダのことを書いているから、「ぱんだ珈琲店」にも久々に行きたいんだよね、と、阿佐ヶ谷在住のライター、Hさんに話したところ、じゃあぜひ一緒に行こう!ということになった。Hさん曰く、気になってはいたんだけど、足を踏み入れるのをなんとなく躊躇していた、と。興味がないジャンルの聖地に迂闊には入れない、という気持ちは、すごくよくわかる。でも、居心地のいい喫茶店でしたよ、「ぱんだ珈琲店」は、パンダが好きじゃなくっても、きっとね。

 しかし、すでに何度もメディアに取り上げられた有名店を取材して、

パンダがいっぱいでシアワセになりました☆
お料理も飲み物もとってもおいしかったです♪

云々などと紹介してもつまらないじゃないか。だったら、何をどう書くの?と考えていたときに、わたしの脳裏をよぎったのは、マンガ『しろくまカフェ』の中の一コマだった。南紀白浜ツアーに行ってきたパンダくんが、シロクマくんに、アドベンチャーワールドの写真とおみやげを見せる。パンダパンダのパンダ尽くしである。シロクマくんが汗をかき、目を回して一言、「パンダに酔った」(って、説明しようとしているわたしにも、何が何だかわからなくなってきました……どんなマンガなのか、気になった方は『しろくまカフェ』を読んでみてください)。とにかく、パンダ尽くしに出くわしたとき、ヒトはどういう反応を見せるのか?を観察してやろう、と思ったのである。Hさんの反応が芳しくなかったら、パンダが嫌いなヒトなんていません!というわたしの持論は、再検討を要するかもしれない。

ぱんだ珈琲店

阿佐ヶ谷駅北口で待ち合わせて、「ぱんだ珈琲店」へ。

平日の昼時で、店内はほぼ満席であった。

大量のパンダグッズを目にしただけで、すでにテンションが上がっているわたしを見て、今日ってちゃんと取材するの?と不安げな表情を浮かべているHさん。いやいや、どうですか、こんなにパンダに囲まれて……オムライスセットにされますか。じゃあ、わたしはキーマカレーセットにしましょう。そうそう、オムライスには、ケチャップでパンダの顔が書いてあるんだよ。ほら、他のお客さんもみんな、写真撮ってるでしょ! 運ばれてきたオムライスとキーマカレーを見て、お、これは確かに写真に撮りたくなるね!とHさん。

オムライスキーマカレー

デジカメ忘れちゃったから、その写真、後で送ってね、と笑顔のHさん。うーん、パンダ酔いはまだか。まだなのか。パンダに完全に包囲されていても平気なのか。

周囲をさりげなく見回すと、必ずしもパンダ好きだけが集まっているわけではない様子。スーツ姿の男性二人組もいるし、ひとりでふらりと入ってきたおじさんもいるし。キーマカレー、おいしいな。もぐもぐ。

その後、しばしおしゃべりに興じてから、前に来たときにはなかったオリジナルの手ぬぐいを買おうか、それともふろしきにしようか、と物色していると、ぼくはこれにしよう、とボールペンをお買い上げになったHさん、次はカレー食べてみよう、って。

ふろしきにしました。ふろしきにしました。

というわけで、Hさんがパンダ酔いに陥ることはなく、むしろ、「ぱんだ珈琲店」での午後のひとときを楽しんでくださったようであった。あらためて、パンダが嫌いなヒトなんていませんよ!!!と声を大にして主張したい……いや、待て、それこそが「ぱんだ珈琲店」の凄さなのではないか。この連載も、聖地「ぱんだ珈琲店」を見習って、パンダパンダのパンダ尽くしであると同時に、パンダが好きでない読者も面白く読める、ましてやパンダ好きならもっと楽しい! そういう方向を目指すべきなんじゃないのか!?と、今さらながらに根本的な課題に突き当たったところで、残りあと3回です、はい。

ぱんだ珈琲店公式ホームページ
http://pandacoffeeten.com/

※拙稿「パンダはおそろしい」掲載のインディーズ文芸誌『ウィッチンケア (Witchenkare)』3号を、閲覧用として、「ぱんだ珈琲店」の本棚に加えていただきました。感謝です!

-ヒビレポ 2013年6月6日号-

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