新宿ゴールデン街を飲み尽くせ! 第1回


全ての人見知りに勇気を

 
コエヌマカズユキ
(第11号で「物書きにとってバー経営はメリットになるのか?」執筆)
 
 

 新宿ゴールデン街には、約200軒とも250軒ともいわれるバーが軒を連ねている。僕がゴールデン街にお店を開いてからちょうど一年が経った。自分のお店が終わってから、あるいはアルバイトさんがいる日に、ほかのお店に飲みに行くこともたまにあるが、僕が行ったことがある店はせいぜい30軒程度。気に入ったお店を見つけてしまうと、わざわざ新規開拓をする必要性を感じなくなってしまうため、そんなに多くはない(ちなみに僕がよく行くバーは、バーテンダーがマニア系エロ本の編集長を務める店と、スタッフが全員女装の店だ)。

 もちろん、お気に入りのお店を増やすために、新規開拓をしたい気持ちはある。だが、個性的なお店が集まっているゴールデン街である。入ってみたものの、雰囲気や客層が合わなかったり、自分には全く場違いだったりするケースも少なくない。実際に、僕も何度かそのような憂き目に遭って、そそくさと店を後にしたことが何度かある。

 だが、ゴールデン街で店を構えているのに、このままでいいのだろうか? 一部の店にしか行かないままで、もったいなくないだろうか? そう思っていたときに、ヒビレポで連載させてもらうことが決まった。これはチャンスである。連載期間の3カ月間の間にどれだけお店を回れるか、チャレンジしたいと思う。使ったお金や飲んだ杯数も克明に記録し、また行く先々で出会った人たちや面白エピソードを紹介していきたいと思う。
 

 

 ゴールデン街にあるお店が200軒だとして、ヒビレポの連載は週一回で全12回。制覇するには、一週間に16〜17軒を回る必要がある。かなり厳しい数字である。お金と時間と肝臓が持つかどうか、厳しい勝負になるだろう(ちなみにお酒はそこそこイケる口だ)。何よりの懸念は、僕が異常なまでに人見知りなことだ。お店でカウンターに入って接客したり、本業のジャーナリストとしてインタビューをしたりするときは、脳内のスイッチが切り替わるらしく、問題なくこなせる。だが、プライベートとなると、まるで別人になってしまうのだ。もし合コンやパーティや交流会などに参加すれば、間違いなく“ぼっち”になるので、決して参加しないように決めている。だが昨年、お店をオープンして間もない頃、お客様に誘われて出版系交流会なるものに参加した。普段なら行かないのだが、お店をオープンしたばかりの大事な時期である。「宣伝しまくるぞ!」と意気込んでいたのだが、到着して5分後にはすっかり会場の空気に飲まれ、案の定“ぼっち”になっていた。見かねて話しかけてくださった方もいたのだが、何だか自分がみじめな気分になって、結局そそくさと立ち去ってしまった。今年に入ってからも、よせばいいものの、誘われるままに交流会に参加し、全く同じ目に遭った。こうして書いているだけで情けないのだが、それくらい人見知りなのだ。

 そう、このヒビレポは、ゴールデン街を制覇するというチャレンジと共に、病的なまでに人見知りな僕の性格が、バーを回るうちに少しでも矯正できるか? そんな記録でもある。全ての人見知りに勇気を与えるべく、僕はゴールデン街の未知なるエリアに飛び込んできます。記録は来週から届けていきますので、これから3カ月間どうぞお付き合いくださいませ。 

 
 
 
-ヒビレポ 2013年7月2日号-

Share on Facebook