ヒビムシ 第2回


神鍋山:キイロクチキムシ

沢田佳久
(第11号で「五十円玉はどこだ」執筆)
 
 
 
6月26日(水)
 やっと梅雨らしい感じになって,今日も雨が降っていて止みそうにない.今回は早めに書き始めた.

 第二回は「6月26日に,24日の事を思い出しつつ書き,文章に対応する写真を探し出す」という状況です.

 この日は「神鍋山」に行った.新しくできた山で,火山噴出物でできたすり鉢状の山に,若い林が広がっている場所だ.どのくらい新しいかというと…約2万年だそうだ.麓にある道の駅から20分ほど歩けば火口の縁まで上れ,まさに神の鍋という感じの山容が望める.
 各地で鹿が殖えて問題になっている昨今,この神鍋山は鹿の影響も少なく,下生えがよく育っている.”植生が低い”ことで低い目線で虫を見ることができる場所でもある.

 雨は降らないとの天気予報を信じて,ちょっと遠いが出かけてみた.だが,昼過ぎに着くと,すぐにシトシトと降り出した.雲を見上げると,ここだけ雨である.なので徘徊続行.そして一旦止んだが,こんどは継続的に降り出した.もう天気の事を考えるのをやめ,傘をさしてじっくり歩く.雨なら雨でその状況での虫を見ることにした.
 

 

 この日はキイロクチキムシを何度も見た.わりと珍しい,明るい黄色の派手な虫なのだが,何をしてる人か分からない.
 クチキムシのくせに朽木で見ることがない.つや消し黒のオオクチキムシなどはちゃんと朽木にいるのに,このキイロクチキムシを見かけるのは,たいていこういった明るい高原でである.葉の先に止まっていて,飛ぼうとしているのだ.クリの花で花粉を食べていることもあるので,羽化後とりあえず腹ごしらえをしてから繁殖なのかも.そもそもこの色彩自体が明るい場所で活動するための仕様だと思うのだが.

 

キイロクチキムシ(上下とも立体写真。見方は文末に)

 

 ナナフシモドキも多かった.エダナナフシなどとは違い,触角の短いやつである.雨の中,クズなどの葉をモリモリ食っている.かなり大きくなっていて,成虫らしいのもいた.捕食者であるカマキリ類はまだ2センチ程度だし,他の直翅類の多くもまだまだ小さい若虫である.これらと比べると,ナナフシモドキは割と前倒しの生活史なのかもしれない.なお,写真の個体はたぶんまだ若虫.

 

ナナフシモドキ

 

 火口の縁の周回路をのろのろと進むうちに雨がやんだ.オオツノトンボを一匹だけ発見.草に止まってじっとしている.青灰色と黄色の模様が毒々しい.とりあえず撮影したが,よく見ると翅が綺麗に伸びてないなぁ.
 ツノトンボの類はぜんぜんトンボではないとか,幼虫はこんなだとか,そういう話が定番だがここでは省略《興味のある方は検索してみてください》.ごらんの通り草に止まっている姿はぜんぜんトンボではなく,むしろ論外.

 

オオツノトンボ

 

 あ,あと蝶屋さんと出合ったのを思い出した.降り始めた頃で,天気予報が外れたので撤収との事.目的が何かは不明.アカシジミは撮ったけどと告げたが興味なさげだった.
 そのアカシジミは前翅の先が大破しているが尾状突起は健在.ニセモノの触角である.つまり「どっちが頭?」という偽装のためにわざわざ装備しているのだ.これのおかげで助かることもあるのだろう,この子もそうだったかは,もちろん不明.

 

アカシジミ

 

 結局6時ころまでうろついて,他にもいろいろと撮った.厳選して4種に絞ったが,もったいないくらいだ.

 
 

◆立体写真の見方◆

同じような2コマが左右に並んだものは「裸眼立体視平行法」用の写真です.
平行な視線で右の目で右のコマ,左の目で左のコマを見ると,画面奥に立体世界が見えてきます.
大きく表示しすぎると立体視は不可能になります.

色がズレたような1コマのものは「アナグリフ」です.
青赤の立体メガネでご覧ください.
メガネは右目が青,左目が赤です.
緑と赤の暗記用シート等でも代用できます.

 
 
 
 
 
-ヒビレポ 2013年7月14日号-

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