新宿ゴールデン街を飲み尽くせ! 第3回


 
コエヌマカズユキ
(第11号で「物書きにとってバー経営はメリットになるのか?」執筆)
 
 

 7月に入り、急に仕事の依頼が続々と舞い込んできた。水商売と同様に、フリーランスの仕事の流れは本当に分からない。現在僕は、大きなプロジェクトを2つ進行させており、正直それだけで手一杯だ。それなのに、広告制作の依頼が立て続けに4本も舞い込んできたのだ。ギャラは正直悪くない。スケジュール的にかなりキツいが、全力で挑めば何とかこなせる量だと判断し、受けることにした。というわけで、今週もゴールデン街飲み歩きに時間を割くことは難しく、実質的には1日しか飲み歩けなかったのだが、その分とあるチャレンジをしてみた。先に今週の酒レポートを書く。
 

 

<今週の酒>
◆7月1日(月)
新宿ロフトプラスワンにて、「世界のくさウマ実食会2」に参加。会場でハイボールを一杯。クサヤや臭豆腐、ドリアン、シュールストレミングなどを実食。口臭をプンプンさせてお店に戻る。

自分の店にて
ハイボール×1杯(お客様にいただく)
※家に帰ってハイボールを何杯か

◆7月2日(火)
お店が終わってまっすぐ帰宅。
※家に帰ってハイボールを何杯か

◆7月3日(水)
1軒目 トレトレ(新規)
ハイボール×2杯、ウイスキーロック×1本
2900円

2軒目 ゴールデン街某店(新規)
ウイスキー水割り×1杯、ロック×1杯
※お店の方に一杯ごちそうする
3000円

3軒目 シラムレン
いも焼酎水割り×2杯、ロック1杯、ビール1本
新規でボトルを入れる
7500円 ※2人で行き僕は5000円払った

◆7月4日(木)
アルバイトさんにお店を任せて自宅で原稿書き
※ハイボールを何杯か

◆7月5日(金)
お店が終わってまっすぐ帰宅。
※家に帰ってハイボールを何杯か

◆7月6日(土)
自分の店にてハイボール×1杯、電気ブラン2杯
※お客様にいただく
※帰宅してハイボールを何杯か

◆7月7日(日)
アルバイトさんにお店を任せて自宅で原稿書き。
※ハイボールを10杯くらい飲んだ

 以上が今週の酒レポートである。原稿で忙しいから、ほかのお店には飲みに行かないのだが、家に帰ると結局飲んでしまう。これはもう習慣で、水かジュースのように飲んでしまうのだ。ビールだとおなかが出るので、もっぱらウイスキーのソーダ割りを飲む。もちろん、原稿に支障をきたさない量を心がけながら。ええ、心がけます。。。
 さて、今週は7月3日(水)に飲み歩きを行った。一軒目は近くのお店「トレトレ」に行った。僕と同い年のマスターがいて、常連さんもとても感じが良く、居心地のいいお店だった。ここでお酒を少し飲んでから、2軒目に向かったのは、以前からずっと行こうと思っていたお店だった。
 お店の名は明かせないが、いわゆるオカマバーである。70歳前後のママ(?)さんがやっているお店で、気に入った男性客が入ってくると、電気を消されて鍵を閉められ、迫られるという噂があるお店なのだ。
 僕のお店のお客さんで、好奇心が非常に強い若者がいる。彼はそのお店の噂を聞くなり、「俺行ってきますよー!」と単身で乗り込んでいったのだが、まるで相手にされず、すごすごと帰ってきたことがあった。僕はその話を聞いて大笑いしつつ、「ようし、いつか僕がリベンジに行ってやる!」と宣言した。そして今回、ようやくそのお店に行ってきたのだ。
 午後9時頃に、くだんのお店に向かった。2階のそのお店へ続く階段を踏みしめると、少々緊張している自分に気づいた。ドアを開くと、ママが「いらっしゃい」と出迎えてくれた。ゴールデン街にはゴチャゴチャした雰囲気のお店が多いが、対照的に整理整頓されたキレイなお店だった。店内に客は一人もいない。これはまさに、襲われるには絶好の(?)シチュエーションである。僕は緊張を抑えて席に座り、ウイスキーを頼んだ。改めてママと向き合うと、お年は召しているが、若い頃はさぞかしキレイだったであろう面影が伺えた。
「ゴールデン街はよく来るの?」
「はい、とあるお店で働いているんです」
 僕は先にそう伝えた。これは、万が一ぼったくられる可能性を危惧して、予防のために先に伝えておいたのだが、この行為が後の展開に影響を与えた可能性が大きい。ママは歌手をしているそうで、ポスターやステージ衣装が壁に貼ってある。照明は薄暗く、どこか妖しい雰囲気が漂っている。
「二丁目に行ったことある?」
 ママが唐突にそう聞いてきた。
「いえ、ないんです」
「興味は?」
「いえ、特に……」
「あら、そう」 
 誘いらしい誘いがあったと言えば、この瞬間だけだった。それからの会話は、ゴールデン街の今と昔がまるで変ってしまったことや、世知辛い世相に対するグチ、ママが某大物元プロ野球選手と交際していることなど。約一時間ほど過ごし、結局僕もママに襲われることなく店を後にしたのだった。もしかしたら、ゴールデン街関係者を名乗ったために、襲われなかったのだろうか? それとも、単純に僕もママのお眼鏡にかなわなかったのだろうか? 安堵の反面、少々悔しい思いをしながら、僕は3軒目のお店に向かったのだった。
 ちなみに言っておくが、もし襲われていたら、僕は間違いなく全力で拒否していただろう。少々道を踏み外したことはあるが、僕は至ってノーマルだ。じゃあなぜわざわざ襲われに行くのかって? 答えは簡単、噂があれば真相を確かめに行くのが物書きってものだろう? というわけで、来週に続きます。

 
 
 
-ヒビレポ 2013年7月16日号-

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