ヒビムシ 第5回


菊水山:アブラゼミ

沢田佳久
(第11号で「五十円玉はどこだ」執筆)
 
 
 

7月16日(火)
 世間は三連休明けだ.今回は早く書き始めた.というのは,この「ヒビレポ」での「ヒビムシ」と連動したサイトを作っており,それをどう公開するか,関連付けるか,を思案しているからだ.書きながら思案.
 新サイトの内容は,このヒビムシに掲載した3D写真を3DSで見られるようにするもので,ネットにつながっている3DSのウェブブラウザの下画面(3DS用語)の画像を長押しするだけで上画面(3DS用語)に3D表示されるというモダンな仕掛けである.そのコンテンツ,一週間ごとに追加されていく本編との関係をどうしようかな?的な思案をしているのだ.
 16日現在,第二回分までがアップされており,21日には第三回が出る.今,書いている第五回が公開されるのは8月4日の予定である.と,いうことは,いまのこの原稿に「堂々大公開」の宣言を記入しておいて,8月4日までに新サイトを見せられる状態にしておけば良いことになる.その時点で新サイトの収録範囲は本編第四回,7月28日分に相当する.あとは月単位くらいで追加しよう.
 第四回の分は書き終えているから,今から現状分をまとめて置いておけば,この原稿が公開される暁にはピッタリのタイミングで新サイトも発足できる.
 …と,書きながらの思案は滞りなく決着.

 3DSをお持ちの皆様,こちら↓のサイト「ヒビムシ Archives for 3DS」で「ヒビムシ」に掲載している画像を3Dで表示できます(詳しくは文末参照).ぜひご覧ください.
http://photo3d.web.fc2.com/hibi/hibimush.htm
 
ヒビムシ Archives for 3DS
 

 

7月17日(水)
 仮設置したサイトを3DSで見てみて,ふたたび悩み中.本編では正方形に組んでいるが,そのまま3DS用にするのは効果的でも効率的でもない.「本編と同じトリミングで」を諦めることを決断した.同じ原版を3DS用に別途調整することに決めた.十数ペア(3D用語)を調整しなおす.正方形版よりは少し軽量になり,かなり見やすくなった,と思う.
  昼になり,軽く菊水山上り口付近をうろつくことにする.で,翌日にまとめ.つまり「18日(木)に17日のことを思い出しながら書いています」のパターン.

 飛んでいるキンモンガに気づいて周囲をさがすと何匹か止まっていた.これも昼行蛾.飛んでいる時は蝶の華やかさで,止まり方は蛾.食樹に集まっているようなのだが,産卵はみられなかった.ボロけた個体もピンピンの個体もいる,両極端を撮って後者をここに掲載.

 

キンモンガ(上下とも立体写真。見方は文末に)

 

 「夏,はじめました」的なアブラゼミの抜け殻があったので撮影した.しかし声はあまりしていない.たまに一匹が鳴いて,すぐ途切れる.セミは一斉に出てナンボの虫なので,羽化のタイミングをはずした個体は各個撃破の憂き目に会う.この空蝉から飛び立ったセミは本格的な繁殖期まで生き残れるだろうか?
 このところ「地球温暖化」という言い方の,正しくは「地球気象破壊」とでも呼ぶべき現象が進んでいる.虫も,従来もっていた年間スケジュールが通用しなくなり,エライ目に遭っているのがいる.新芽の時期にあわせて出るはずの虫が早すぎて大量凍死とか.それらしい例を何度か見た.私たちが気づけるのはごく一部だろう.知らないところでいろいろ起こっていると考えるべきだ.
 そのようなエライ目の観察については,もちろん「従来からある頻度でそのような事が起こっていて,起こっているからこそ最適に保持される」という考え方をすることもできる.ただこれがどうも違うような気がするのだ.
 セミはどうなのかなぁ,とは思う.セミは多くの日本人にとって馴染み深い虫である.こいつらに大異変が起こったら,人々は本当に四季を壊してしまったと気づくだろう.セミはライフサイクルが長い(7年というのはデマらしいけど)ので,気づくのは数年遅れることになるのだが.

 

アブラゼミ(脱皮殻)

 

 ところでセミの抜け殻の,内側に白い糸みたいなの,これは気管の皮である.気管というのは(人間の口の奥の気管とは異なり)虫の体の側面に並んでいる気門から奥につながっている管である.つまり脱皮の際に,その細い管の内側の皮も一緒にズルズルと剥がれて出てくるわけだ.気管だけではない.消化管も前腸は前から,後腸は後ろから脱皮する.
 脱皮って,いったいどんな感じだろうか.節足動物ならぬこの身に知る由もないのだが,感覚というものの機能から考えて,この場合,個体に対して『★最優先課題』とともに『▼最大警戒』のスイッチを入れるものであるはずだ.ビビりつつ全力で実施,そいいう快感だろうと思う.敢えて探すと野糞か?

 あと,オニグモの類いを拉致しているベッコウバチを発見.オオシロフベッコウらしい.クモはイエオニグモか? 生きたまま麻痺して動けない.草の上の分かりやすい場所に”置いて”あるのだ.ハチは少し離れた場所での巣穴作業をしつつ,その合間をみて”置き引き”に遭ってないか確認しに来る.なぜ獲物を直接巣穴前に運ばないのか,それは寄生者がよってくるのを避けるためだろう.まったく世知辛い虫の世の中である.

 

オオシロフベッコウと獲物

 

 ヨウシュヤマゴボウの実を吸汁しているハリカメムシを多数発見.交尾しているのもいた.ヨウシュヤマゴボウとはいかにも外来種らしい名前である.筆者が小学生のころには既に見かけるようになっており,毒だから絶対食べるなとしつこく注意された印象深い植物である.今でもさほどハビコッテイル感はないのだが,ときどき独特の存在感で野の一角を占めている.
 有毒である事意外,生態的撹乱や遺伝的撹乱という観点からはさほど問題のない外来種のように思える.ただ在来の昆虫種がこの種に依存,適応することによって生態が変化することは十分考えられることだ.在来植物種の結実にあわせた年間スケジュールを持っていた在来昆虫種が,外来種に影響されてスケジュールをシフトしてしまう,とかだ.困ったことが平行していろいろと起こっているなぁ,と,手をこまねき中.

 

ハリカメムシ

 
 
 

◆立体写真の見方◆

同じような2コマが左右に並んだものは「裸眼立体視平行法」用の写真です.
平行な視線で右の目で右のコマ,左の目で左のコマを見ると,画面奥に立体世界が見えてきます.
大きく表示しすぎると立体視は不可能になります.

色がズレたような1コマのものは「アナグリフ」です.
青赤の立体メガネでご覧ください.
メガネは右目が青,左目が赤です.
緑と赤の暗記用シート等でも代用できます.

別サイト「ヒビムシ Archives for 3DS」にはMPO版を置いています.3DSの『ウェブブラウザ』で「ヒビムシ Archives for 3DS」のサイトを参照してください.お好みの画像を(下画面におき)タッチペンで長押しすると,上画面に3Dで表示されます(数秒かかるかも).表示された3D画像ファイルは保存することもでき,『3DSカメラ』でいつでも再生することができます.

MPO版とは,複数の静止画を一つのファイルにまとめたもので,ここでは立体写真の左右像を一つにまとめたファイルです.3DSをはじめ,多くのmpo対応機器で3Dとして再生,表示することができます.PCやスマホ等でダウンロードできますので,各機器にコピーして再生してみてください.
 
 
 
 
 
-ヒビレポ 2013年8月4日号-

Share on Facebook