「食い物の恨み」は消えず 第21回

コロッケ定食を探して歩く編

 
下関マグロ(「池袋の穴」連載中)
 
 
 

 
 
ちびレポ発送作業のとき、海江田哲朗さんから「どんだけ、コロッケが続くんですか」と声をかけられた。
さらに「今回の日々レポでも『コロッケの話はまだ続きます。』ってあったんで笑っちゃいましたよ」と笑いながら言う。

ほかの人がどうやって雑誌とかネットの連載原稿を書いているのかわからないが、
僕は前の回の原稿を開き、そこへ新たな原稿を書いて
「名前をつけて保存」というようなことをしている。
そんなこをしているとときどき消さなくちゃいけない文章が消えていなかったりする。
それが、「コロッケの話はまだ続きます。」だったのだ。
本当はコロッケの話は2回か3回で次は別の食べ物のことを書こうと思っていた。
だってコロッケには失礼だけど、所詮コロッケでしょうって思ってたからね。
でも、この「コロッケの話はまだ続きます。」のおかげでまたコロッケの話を書いた。
でも、そうやってコロッケの話を書くうちに所詮コロッケとはいえないのではないかと
思うようになってきた。
 

 

すると不思議なもので、コロッケのことをどんどん考え始めた。
コロッケのことを考えながら歩くと、必ずコロッケに出会うのだ。

お昼時、どこぞで飯でも食おうかとブラブラ歩いていると、
冒頭の画像にある看板が目に止まった。
「Bカニクリームコロッケ(自家製)」だ。

以前厚生年金会館があった場所の裏の通りが医大通りというのだけれど、
ここに「キッチンサバナ」という洋食の名店がある。

 

 

ネットなどでは、まったく話題になっていないけれど、
昼時のぞいてみるとたいてい満席だ。

650円の日替わり定食が2、3種類用意されている。
人気のメニューはすぐになくなる。
この日訪れた時刻は午後1時をちょっとまわったところ。

中をのぞくと満席っぽかったが、カニクリームコロッケ食べたさで、中へ。
目ざとくひとつ空いた席を見つけて、着席し、
ドキドキしながら「Bをお願いします」とコール。
「はい」というご主人の声。ホッ、まだあるんだ。

ここのお店、熟年のご夫婦がやっていらっしゃる。
客席も狭ければ、厨房も狭い。
でもテキパキと仕事をこなし、
僕の前にはBの 「カニクリームコロッケ(自家製)」が到着。

 

 

なんかすごいボリュームでしょ。これで650円。お得でしょ。
これにね、味噌汁もつくですよ。
この日は小松菜とお豆腐の味噌汁。

いや、おいしいし、自家製のカニクリームコロッケも
濃厚なカニの味がしていいんだけど、
なんか、コロッケ定食というジャンルからは逸脱しているような気がする。
だってね、ここにローストビーフもついてて、
それがめちゃくちゃ旨かったりするわけで、
じゃあ、カニクリームコロッケの立場はどうなる、まあ、全体的においしいから、
いいんだけどね、なんかこう、本来のコロッケ定食ではないんじゃないかって、
まあ、そんなことを思いながら、今、この文章を保存したところ。

コロッケの話はまだ続きます。

 
 
 
 
似顔イラスト/日高トモキチ
 
 
 
-ヒビレポ 2013年8月19日号-

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