「食い物の恨み」は消えず 第25回

ロールキャベツ一貫+煮込んだ帆立貝入りクリームコロッケ

 
下関マグロ(「池袋の穴」連載中)
 
 
 

 
 
大阪の大学を卒業して、僕は東京にやってきた。
あてなどなくなく東京にやって来た僕は、
中学、高校と同級生だった岡本くんのアパートにころがりこんだ。

岡本くんは一浪して大学に入り、大学には5年間いたのだが、
それが僕とちょうど同じ。普通に大学へ行った同世代から
2年も遅れて社会に出ることになった。

上京した僕に「飯食おうか」と岡本くんが連れてってくれたのが、
新宿にあるアカシアだった。
冒頭の写真は今のアカシアだけれど、以前は喫茶店みたいだった。
アカシアを見て、自分は東京へ来たんだなということを実感した。

僕はアカシアについてはよく知っていた。
僕が読む雑誌のエッセイにアカシアはよく登場していたからだ。
具体的にどんなエッセイだったか、まったく思い出せないのが悔しいのだけれど、
たしか、ひとつではなく、なにかムーブメントのようになっていたように思う。
 

 

とにかくロールキャベツは安く、それにライスを加えても370円くらいだったか、
大盛りのライスにすれば腹いっぱいになるというような紹介のされ方だったと思う。

昼過ぎだったが、アカシアの前には行列が出来ていた。
ほとんどが若い男女である。黙って並んでいる。
大阪で学生時代を過ごした僕にとって、それは少し異様な光景だった。
大阪で行列に並んで何かを食べるということはなかったからだ。
しばらくすると、店内に入ることができた。

やはり中も喫茶店のようなかんじの低いソファ。
そこに低いテーブル。客のすべてがロールキャベツとライスを黙々と食べていた。
味はよく覚えていない。

その後、しばらくアカシアへ行くことはなかった。
久しぶりに行ったのは、「タキモトの世界」という久住昌之のエッセイに
ペパロニライスというのが、登場するのだが、たしか、それを食べに行った。
ペパロニライスというのは、ソーセージと目玉焼きにライスというもので、
なんということもない料理だったんで、ついでにロールキャベツも食った。

ロールキャベツはうまくなかった。シチューはとても塩分が強い。
なるほど、これはご飯が進むおかずなのだ。

その後、しばらく行かなかったが、改装され、今度はテーブルが少し高めになった時に行った。
毎回思うのは、ここはロールキャベツ以外のものはうまい。
レバーカツもおいしかったし、
でも、なんだかわからないが、せっかくアカシアにきたんだからとロールキャベツを頼んでしまう。
店側もそれを心得ていて、2個入りではなく、1個入りというのが用意している。
ここでは、一貫、二貫と数えるようだ。
 

 

「ロールキャベツ一貫+煮込んだ帆立貝入りクリームコロッケ」
というのを頼む。
相変わらず、ロールキャベツはしょっぱいのだけれど、
このホタテ入りのクリームコロッケはなかなかうまい。

 

 

外はカリッと揚がってて、中身は独特。
クリームの中にホタテ貝が入っている。
よく煮込まれているので、柔らかいのだけれど、
ある程度のコリコリ感がある。
ちょっと変わったクリームコロッケだ。

血圧が気になるので、ロールキャベツの汁部分は半分残した。

というわけで、コロッケの話はまだ続きます。

 
 
 
 
似顔イラスト/日高トモキチ
 
 
 
-ヒビレポ 2013年9月16日号-

Share on Facebook