展示される生きものたち 第2回


地球が丸く見える水族館・犬吠埼マリンパーク

 
日高トモキチ(生きものなんとか紀行連載中)
 
 

 
 
「犬吠埼マリンパークは本州最東端に位置し、怒涛荒磯の男性的景観と、白浜青松の女性的美観を備えた犬吠崎灯台に隣接して、平成5年7月リニューアルオープン致しました」(公式サイトより)
現状こんなである。リニューアル前はどんなだったかちょっと気になるが、そんなに真剣に知りたいわけでもない。

 
犬吠埼マリンパーク
 

こんなようなカラーリングの建物を知っている気がしてすこし考えた。思い出したのは楳図かずお邸だった。
http://www.amazon.co.jp/dp/4096820431
ウメズハウスの褪色したようなものだと思えばよかろう。
 

 

文字通り千葉県の犬吠埼に位置するマリンパークである。灯台からは300mくらいの場所にある。
タイトルにある「地球が丸く見える水族館」とかいうガリレオが泣き出しそうなフレーズは、犬吠埼マリンパークの自称だ。
展望台からの眺望で水平線がまるうく見えるというニュアンスらしいのだが、やや詩的すぎて微妙に電波の匂いがする。

 
天気が悪くて地球が丸く見えるどころの騒ぎではない
 

あと手前のうまれたてのプロトケラトプスっぽい巨大オブジェが気になる。マリンパークとどう関係あるのか、きっと別にないんだろうが実にワクワクする。雨も降ってきたし一刻も早く中に入ろう。
入館料はおとな1260円、こども630円。半端なのは1200円+消費税だろう。安倍政権下でいずれもうちょっと高くなるにちがいない。
館内はちょっと薄暗い。昭和の水族館にはありがちな風景だが、平成5年にリニューアルされたと謳っている。困ったな。

 
エントランス。大漁旗がいい味を出している。
 

大漁旗はいいのだが1Fの展示はこれだけで、あとはトイレと受付しかない。フロア面積の大部分が売店に奪われているので仕方がない。一刻も早く2Fに上がろう。

 
階段にそびえ立つながすくじらのペニス
 

スペースを有効活用しようという発想は素敵だがいきなり秘宝館の様相を呈してきた。困ったな。
そして衝撃の2F展示室。

 
ドジャーン
 

外のオブジェと併せてとりあえず恐竜が大好きらしいということは伝わるものの、コンセプトがまったく不明だ。デザイナーを呼んではげしく問いただしてみたい。
首の周りに水紋っぽい雑な線が描かれてるから「恐竜が首を突っ込んだ海の中」とかそういう場況設定なのか。だいたい顔の割に脚のしわが多すぎないか恐竜。あと薄暗い。子供泣くぞこれ。

ところで内装のことは一旦忘れて目をやると、手前のトイレの手洗い場みたいなのはタッチプールである。
浅いきれいな水の中に、たくさんのヒトデやナマコ、ウミウシの類が散りばめられており、子供たちが自由にさわれるようになっている。
貼り出されたポスターに記された「さわるときは指先でやさしくさわって下さい」というお願い。
見渡せばまわりの水槽には「銚子近海の魚たち」が元気そうに泳いでいる。状態を見れば、大事に飼われていることがわかる。

タッチプールのホールを抜けたトンネルに並ぶ水槽には、かわいいイラストの添えられた手書きの説明が貼り出されている。
銚子地方の魚名の方言が解説されたパネルが、まめちしき欲を満たしてくれる。
天井に施された難破船みたいな奇怪な飾り付けはとりあえず無視しておく。
遠足に来たとおぼしき保育園の子供たちが描いた絵が飾ってある。「たのしかったねマリンパーク」という題字も、園児のそれだ。
当初の困惑はどこへやら。すっかり嬉しくなってしまい、時間が経つのを忘れて展示を見て回った。

 
ただならぬ手作り感を醸し出す展示あれこれ 全体的に薄暗い
 

観光スポットとしての洗練は望むべくもないし、特に珍しい魚や特記事項があるわけでもない。あと薄暗い。
だけど犬吠埼マリンパークが生きものと来館者にそそぐ眼差しは、とても優しくあたたかい。
水族館がデートスポットだと思っている向きにはぜんぜんまったく勧められませんが、生物クラスタを自称するあなたならちょっと幸せな時間を過ごせるでしょう。

満足のあまり帰りに1F食堂でしょうゆロールケーキを頂きました。
醤油の町ですから、銚子。

 
まあ醤油はどうやっても美味しいですよ
 

 
 
 
-ヒビレポ 2013年10月12日号-

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