MAKE A NOISE! 第15回

メリル・ストリープのお言葉(第1回をご参照下さい)に従い、まだ知れ渡っていない面白い映画をロンドンからMake a noise!
 

見てから読んだり、読んでから見たり

 

山口ゆかり
(第13号で「ロンドンでゲイ、レズビアンたちに混じる」執筆)
 
 
 

 

ここで書いている映画は、イギリスでも未だ公開されてないのもありますが、第2回の『Beware of Mr. Baker』は、その後、目出度くも劇場公開されました。

 

 

やはり高評価で4つ星前後。同時期に公開された映画では、3つ星前後だった『華麗なるギャツビー』より上で、『となりのトトロ』や『火垂るの墓』と競いあってました。ちなみに、この2本、イギリスではビデオ/DVD公開だったのです。今ではイギリスでも劇場公開となるジブリ映画、過去の名作2本もあらためて大きなスクリーンにお目見えしたのでした。
 

 

さて、それぞれの評価は順当と言いたいところですが、『華麗なるギャツビー』は見ていないので言い切れません。バズ・ラーマンは楽しい映像を見せてくれる監督だし、レオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイア、キャリー・マリガンの可愛いトリオも嫌いじゃないのに、なんだか、そそられなかったのでした。
なぜかと考えたら理由は簡単、フランシス・フォード・コッポラ監督、ロバート・レッドフォード主演版に満足してたから。今さらディカプリオでやられても…という保守的な心持ち。

 

 

このお話、原作は言わずと知れたF・スコット・フィッツジェラルドの小説ですが、読むより先に見た映画でした。1974年製作ですが、リアルタイムではなく、テレビ放映で見ました。レッドフォードが演じるギャツビーを、子ども心になんて可哀想で綺麗なお兄さんだろうと思ったものです。
たぶん、レッドフォードを知ったのもそれじゃないかな。いや、『明日に向かって撃て!』の方が先か。でも、そちらはポール・ニューマンの方がおいしい役でかっこよく、レッドフォードは記憶に残らなかったのかも。まあ、子どものことですし。

1993年製作『幸福の条件』では、お金に困ってる夫妻(ウディ・ハレルソンとデミ・ムーア)に、妻と一晩過ごさせてくれたら百万ドル進呈というトンデモ話を持ちかける大金持ち役で、うさんくさい金持ち役がはまる人と再確認。ギャツビーは1人の女性を思い続ける純粋さがある反面、どんな手を使って大金持ちになったのか謎でもあるというキャラでした。
1998年製作『モンタナの風に抱かれて』で監督もしているレッドフォードは、馬と心を通わせる能力のある男を演じていて、うさんくさい人というより、何かありそうな人がはまると上方修正。何かありそうな感じを醸し出すのに、長年ささやかれるゲイ疑惑も手伝ってるのか?などと、長じるにつれ、見方も不純になってくわけですが。

 
ロバート・レッドフォード、遠かったので裸眼(心眼?)では
青年ギャツビーに見えました。(撮影:著者)

 

ともかく、フランシス・フォード・コッポラ監督『華麗なるギャツビー』は良い映画として記憶していたのですが、後年、評価が思ったほど高くないのを知りました。原作のスピリットがない、などと書いてる批評家もいます。映画を見てからかなり経ってますが、原書は未読、村上春樹訳で読み、そうかもしれないと思いました。
それでも、良い映画だった印象は変わりません。原作が良ければ、大筋では面白い話に違いないので、映画でそれを知った人は、原作と比べることが無い分、より高く評価するのかな。
かつての私のように、原作を読まずにディカプリオ版でギャツビーを知ったお若い方など、やはり高く評価したのではとも想像します。原作より…なんて野暮なことは言わないでおいてあげたいです。

一方、『火垂るの墓』は逆パターン。映画が出来るよりずっと昔、中学の頃に野坂昭如の原作を読みました。涙。テレビで見て、変なおじさんのように思ってた人が、こんなに心を打つ小説を書いていたとは…。『四畳半襖の下張』でのわいせつか否か裁判とか、大島渚監督をポカリとか、お騒がせな野坂先生でしたが、『火垂るの墓』を書いた人として揺るぎなく尊敬です。
ジブリ版を見た時はすっかり大人でしたが、またも涙。アニメは圧倒的に可愛い!原作を読んだ際は、自伝的な小説でもあり、特に可愛い子どもは想像しませんでした。それでも胸をつかれたのは、パワフルなストーリーそのものと優れたストーリーテリングでしょうか。ジブリの方はビジュアルと音で惹きつける映画の強みがあり、原作、映画、両方良いです。どちらで先に知っても、もう一方の楽しみを損ねないのが、えらいです。

次回は、レッドフォード主催のサンダンス映画祭がロンドンに出張してきたサンダンス・ロンドンで印象深かった映画などをつらつらと。

 

 
 
-ヒビレポ 2013年10月8日号-

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