昭和歌謡宅急便 紅白バンザイ特別編 第2回

愛しきテンパリスト

 
田中稲(11号で「大阪から来た女」執筆)
 
 
 
 

さて、突然ではあるが。私は9月の最終週くらいからずっとテンパっている。このヒビレポが無事皆さんの目に留まるであろう10月半ばになっても、まだテンパっている、きっと(号泣)。

というのも、私はついに長年愛用していたガラケー君から、事もあろうにアメリカ生まれリンゴ育ちのスティーブ君(iphone5)に乗り換えてしまったのだ。しかもしかも、何の計画性も無く、発作的にauのポイントをぶっ捨ててsoftbankに移動!!

ガラケー生活が長すぎると多くの方からご指摘とアドバイスを頂き「そろそろ潮時かなあ」とぼーんやりなんばヤマダ電機店にて、ケータイ・スマホショップが並ぶ一区画にボーっと立っていると、イケメンとは言い難いが、非常に人の良さそうなにーちゃんにあれよあれよと声を掛けられ、乗り換えちゃった。。

当然ながら一筋縄ではいかないスマホライフ。
日常で一番電話のやりとりをする先輩がauで
「お前ーッ、勝手に乗り換えたらアカンッ。無料プランが使えなくなるんやぞッ」
とお叱りを受けたり、タッチ画面に全く慣れず連絡帳を触っていたらいつの間にか電話がかかっていて
「もしもしっ?もしもし?田中さんよねッ??」
とか応答があってビックリ&平謝りなどと、エマージェンシー発生しまくりであった。
私はこういった新機能やデジタル製品に超弱い。家電から調理器具から家の電気からなにから「電源を差して動く系」と絶望的なほど相性がよろしくないのだ。私が触ると動かないのに、別の人が触った途端、何も無かったようにウィーンゴォーンピコピコピーと動き出すなど日常茶飯事である。
なーぜー。きっとテンパるからである。ちょっとしたことで慌てていらぬボタンを押したり引いたりしてしまうのが誤作動を招くのだろう。
 

 

自分がそういった気の小っちゃい小っちゃい性格なので、芸能人や大スターさんがたまにテンパったりパニックになったりする姿を見ると、非ッ常ーーに愛着がわく。
キライな声質の歌手でも、緊張して歌詞をスッとばし慌てる瞬間を見た途端、好きになる。
要は「ああ彼らも私と同じ人間なのねッ」と非常に共感できるからだ。

で、やっと本筋の紅白歌合戦エピソードに突入だ(前置き相変わらず長いぞ)!!

紅白歌合戦は
『その年おおいに日本を盛り上げたヒット曲&時を超え愛され続ける曲』
を厳選し、まとめて聞きおさめる国民的祭りである。

つまり、出場できる歌手は限られ、年末夜のNHKホールはいわば
「選ばれし勇者達が揃う聖地」扱い。
初出場のアイドルだけでなく、サブちゃんクラスの大御所すらキンチョーする大舞台なのだ。中にはあまりのプレッシャーで歌の途中逃亡したり、酸欠でぶっ倒れたりするテンパリストがいてもいいはずなのだが、さすがは皆プロ。それぞれ役目を見事に全うしておられる。

が、私の記憶の中で「こここここれは!」とこちらまで手に汗握った方が二人いる。
奇しくも両者とも2009年の出場。この年は私にとって「テンパリ記念年」といっていいだろう。
1人目は31歳の若さで大トリをつとめた氷川きよし君である。
もう歌唱前インタビューの時点で顔面蒼白、石像のようにガッチガチ(号泣)。
彼の大ファンであるオカンは、ナンマイダナンマイダと手を合わせながら
「がんばってー、きよしぃ頑張ってえぇぇ!!」
と届かん叫びをテレビ画面に虚しくぶつけていた。きっと、60代、70代女性のいるご家庭では同じような光景が繰り広げられていたに違いない。
結局きよしは、「ガンバレ!」と背中を叩き励ます大先輩五木ひろしをスルーするという失態をおかし、涙ながらにズンドコ節を歌いきったのであった……。
放送後、楽屋で五木ひろしに
「お前無視したろー。テングになんじゃねーよーああんッ」
などといじめられている氷川きよしを想像するのもこれまた一興だ(まあ、皆さんいいオトナなので、そんな心の狭いやりとりはしないであろうが……)。

そしてもうお一人。
私が自分の事のようにキンチョーして鼓動まで倍速になったのが、当時ドラマ「相棒」の大ヒットで〝時の人″となり、出場を決めた水谷豊氏である。彼は若かりし頃の大ヒット曲「カリフォルニア・コネクション」を歌唱したのだが、明らかにマイクを持つ手がガタブルガタブルと震えておるではないか!!

 

 

うああああ、右京さん、頑張るのよッ。3分程よ。こらえてーっ!

他人事ながら胸を押さえ見守るワシ。しかし彼の緊張はおさまるどころか高まっていき、声は震えるわ、顎の方もカクカク震えるわ。歌い終わった後、顔の下を撫でてそれを収めようとしていたのがものっすごい印象的だった。分かるわ―、あの感覚。高校の時の音楽のテストが、クラス全員の前で歌わされるというシステムで、私も顎がガクガク震えたっけなぁ(紅白と音楽のテストを一緒にすな!という声が聞こえる……)。

プロとしては見られたくない姿だったかもしれないが、私はこの紅白で水谷豊の大ファンになった。カワイイじゃないですか。ええやん、ええやん。年の瀬に大スターの素の表情を見て親近感を覚える幸せ。

さあ、あなたも今年、それを体感してみないかッ!(←これ決め台詞にしようと思いますふふふ)。
 
 
 
-ヒビレポ 2013年10月13日号-

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