展示される生きものたち 第4回


「黒い噂」を検証する・京都水族館

 
日高トモキチ(生きものなんとか紀行連載中)
 
 

 
 
これまでなんとなく「鄙びた系」を中心に紹介してきたが、何もモダンな都会の施設に興味がないわけではない。ただまあ、そういうとこは記事にしても大しておもしろくないだけの話だ。
私どもが求めているのは、突っ込みどころなのである。

京都水族館。2012年春にオープンした真新しいアクアリウムは、やはり同時期に東京スカイツリータウンに開業したすみだ水族館と同様、オリックス不動産が管理運営する施設である。

 
京都水族館(2013年10月)
 

 

時代の最先端をゆく技術と洗練のデザインに加え、千年古都にふさわしい典雅で落ち着いた雰囲気を持つ水族館だ。
府内の鴨川水系に生息するオオサンショウウオや京都近海の生物をフィーチャーした作りも非常に好ましい。

 
これは素敵デートスポット
 

所在地である梅小路公園は中心地からやや離れるが、だからこそ京都駅周辺に確保できたスペースであるとも言える。
周辺に開けた芝生や森を配するロケーションは都会地には珍しい憩いの散策地を提供している。隣接する梅小路蒸気機関車館から時折聞こえる汽笛も楽しい。

 
かっこいい展示あれこれ
 

そのような非の打ちどころのない京都水族館であるが、開館直後からネット上ではちょっとしたダークな噂が流れていた。
曰く「イルカショーのイルカが芸をしない」。

イルカショーの是非についてはここでは問わない。そういうことを言い始めると生きものに関わるすべての商業活動に難癖をつける破目になる。
環境保護のひとつの姿勢としてはアリだが、理想論はたいがい衣食の足り過ぎたセレブリティの玩具だ。
子どもたちがきちんと3次元のキリンやゾウに接し、生きものに対する考えかたを知るために。
動物園や水族館は「あっていい」施設だと、ドリトル先生ならぬ私は思っている。

京都水族館のイルカショーに話を戻そう。
開館直後というのはスタッフさんたちもイルカさんたちも慣れていない。そうそう大向こうを唸らせるようなステージを期待するのも酷だろう。
ところがオープン後1年を経た春、実際にショーを見た友達が「いやあ、やっぱりすごいよ」と教えてくれた。

すごいとあれば検証しなければなるまい。満を持して行ってみましたイルカショー。先々週かな。
水族館自体は2度目だけど、前回はイルカパスしてとっとと機関車観に行っちゃったんですよ。

 
半屋外型のイルカスタジアム 雨がふっても安心だね
 

ショータイムは時期や曜日によってシフトが組まれており、このときは初回が11時スタートだった。
スタンドは平日にもかかわらずかなりのお客で埋まった。皆、なにごとかを期待したりしなかったりしているのだろう。
開演前からプールを自在に泳ぎ回るイルカたちは、興が乗るとジャンプしてくれる。そのたびに遠足の子供たちから「わー」と歓声が上がる。

11:00、いよいよ開演。スタッフのお姉さんがイルカの概要を説明してくれる。魚じゃないよドウブツだよとかそういうトークが数分。
この間、イルカたちのうち1頭がお姉さんの説明に付き合い、残りの2頭は特になにもしない。
続いてイルカとなかよしのインストラクターのお姉さんが登場。なんとイルカさんがいっしょに泳いでくれるんだ。

 
水上からではイルカがあまり見えないため、むしろ芸をしているのはお姉さんである
 

ちなみに興が乗らないとお姉さんが呼んでもイルカは来ない。そして付き合っているのはむろん1頭であり、残りの2頭は特になにもしない。
さあお次はいよいよお客さんとのふれあいタイムだ。イルカさんと遊んでみたいお友だちは手を挙げてー。
「はい、はい、はーい!」
げんきよく手を上げる最前列の園児たちを全スルーし、選ばれたのは中程に座ってた修学旅行生と思しき女子高生だった。意外だなお姉さんJK好きか。
まあたぶんあまり小さい子供だと合図がイルカに伝わらないのだと思うけどね。お友だちちょっとがっかりしてたかな。
選抜の女子高生は臨時インストラクターに就任だ。お姉さんの指示にしたがい、イルカさんに合図を出すぞ。

 
「ジーク・ジオン!」「バッシャー」
 

やったねイルカさん大ジャンプだ。選ばれなかったお友だちもおおよろこびだよ。肝心の女子高生は水しぶき浴びてウワーってなってたけど仕方ないネ!
なおこの時も付き合っているのは1頭だが、なんと残りの2頭もつられてジャンプしたりするではありませんか。これは大サービスだネ!

 
そろそろお気づきかと思いますが、基本ジャンプしかしません
 

女子高生インストラクター退場後は「それではイルカたちの泳ぎをおたのしみください!」とアナウンスがあり、BGMががぜん盛り上がる。
この間スタッフさんたちは特になにもしない。イルカさんたちも積極的に行動をおこすわけでもなく、つまり何も起こらない時間が5分くらい続く。
やがて既定の15分が経ち、イルカたちはしっぽを振って退場、ショーは幕を閉じた。わはははは。

このイベントはなんだろうと真剣に疑問をお持ちの向きは、以下のヤフー知恵袋のベストアンサーをご覧いただきたい。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1183612721
私は回答者の言葉にたいそう納得しました。で、ショウとしてのクオリティはともかく「イルカは賢くて人と仲良しなんだよ」という部分は伝わるし、この質問者も記しているように小さいお友だちは実際おおよろこびでした。

イルカが楽しそうで子どもたちが楽しそうなら、まあ、いっかなと思うよ。おらあ。
駅からは歩くと意外に遠いので、状況に応じてバスやタクシーを利用するが吉です。

 
また来るがいいさ(ケープペンギン・談)

 
 
 
 
-ヒビレポ 2013年10月26日号-

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