ハルヒマヒネマ 4−3

進撃の全力歯ぎしりガールズ』

 
やまだないと(「料理入門」連載中)
 
 
 
 
 

漫画『進撃の巨人』をやっと読んだ。おっかなそうだったので読んでなかったのだけど。一気に読んだ。怖かったけどおもしろ!!みたこともないマンガだった。信じられないほど売れてるのらしいが、こんなにおもしろいものを日本中(世界中)みんな読んでるのかと思うと、感動する。
ハルヒは「戦う為の設定」で描かれる戦いの悲惨さって話が好きじゃない。創作なんだからそれは当然じゃないかといわれるだろうが、戦いを、殺し合いを、描きたいのなら、それこそ創作なんだから、伸び伸び好きに描きゃあいいのに、いや、これは、殺し合いを描きたいのじゃなく、うんぬんと、理屈が延々転がされるのがいやなんだ。エロも残酷も、楽しみで描いてるのだったら、正統化なんかするなよ。マッチポンプ野郎。
『進撃の巨人』は、突然現れた巨人の群れに人類が食いつくされてしまって、残った人類が何重もの高い高い壁に囲まれた場所で生活や政治を再構築し、100年たって、すっかり自分たちにはそんな歴史があったってのが忘れられそうになってたところに、壁を破ってまた巨人が襲ってくる。巨人は、戦う為の創作というよりも、自然災害のように現れるので、戦う理由なんかうざうざこねてる意味はない。という状況が、1話であっという間にハルヒに突きつけられてしまった。
その世界には、巨人に立ち向かう職業があって、巨人でかいし、人を見つけたらばくっとバリバリとたべてしまうので、ほぼ逃げられない死ぬしかない恐ろしい仕事だ。だけど、誰かがやらなくてはならない仕事。少年少女の訓練兵達は、成績上位者になれれば直接巨人と戦わない仕事を選べる。人が死んで当たり前な世界で死なない事を選ぶ辛さ、恐ろしさ。結局いい成績を取った子供たちの大半は、泣きながら、巨人と戦う仕事を選ぶ。
そういうひとたちがさ、今のハルヒの暮す日本(世界)にもいる。ハルヒは巨人にあうことなく長生きできればそれでいいって風に生きているね。
 

 
 

『地獄でなぜ悪い』2013 日本
D/W:園子温 A: 國村隼/長谷川博己/二階堂ふみ

あー、正義の為でも愛の為でも人類の為でもない、バイオレンス、楽しい!
『冷たい熱帯魚』の殺人や残酷描写は、とてもリアルで、人の良心が麻痺して機能しなくなっていく様子といい、逃げ出したいほど不快で恐ろしかったが、でもやっぱり、そこには何の教訓めいた事もなく、最初から最後までの不快をハルヒは楽しんだ。
自分のなかにある、隠し持っている、そういう下品で悪趣味な残忍さを、否定するのはたいへん疲れる。そこが肯定される、こういう残酷映画はやっぱし娯楽なのだと思う。
園監督の娯楽映画はほんとに楽しくてハルヒは好きだ。
娯楽は、肯定し、解放してくれた上で、現実の世界で自分の欲望に他人を巻き込まないよう律するものだと思う。
『地獄でなぜ悪い』はそういうわけで、血しぶき血みどろ血だまりのグラン・ギニョールでありながら、なんとも清涼な後味の映画だった。
いつか!最高の映画を撮ることになると、信じて疑わない映画監督平田くんとその仲間たち。高校時代の彼ら「ファックボンバーズ」役の子供たちが、なんとも垢抜けなくて邪念が無くて泣きそう。
この映画、疑問を抱く人が出てこないとこが気持ちがいい。いや、そこに疑問が立ちはだかっても、退かないひとばかりで気持ちいい。巻き込まれた青年、ホシノゲン。たぶん、彼は今まで、疑問ばかりで何も選べなかったひとなんだろうけど、これは自分にとってこの先あるかないか、たぶん無い、異常事態の中、彼はすべて自分で選んでく。ほんの数時間にぎゅっと凝縮された彼の人生はなんて幸福なんだ。
日本刀でスパーンスパーンと手足をはねられ首をはねられ、びゅーびゅーと血を噴きながら死んでいく人たちはなんて幸せそうなんだ。
映画監督平田役のハセガワヒロキは、最初なんともいえない嫌な異物感があったのだけど、そんなことはなかった。彼のまーったく自分以外、人が人に見えてない様子は爽快で、頭おかしいとか狂ってるなんて言葉は、ありきたりすぎる。幸福の絶頂にいる男の子だった。
ツツミシンイチは赤塚不二夫のマンガキャラみたいだった。
そしてニカイドウフミは女の子である事の祝福を一身に受けて、とんでもなくかっこよかった。こぼれそうな大きな胸も、のびっぱなしの脚も。鈍いところの無い、無茶のできる体を持った女の子。かっこいい。
(ニカイドウフミなら巨人駆逐できる)

 
 
『マイク・ミルズのうつの話』2007 アメリカ
D: マイク・ミルズ

東京で暮らす5人の「鬱患者」の日常。を、マイク・ミルズが撮ったドキュメンタリー。ハルヒがみると、おだやかな映画だったが、当事者や体験者は、また違う印象でみるんでしょうね。7年くらい前に撮ってるから、今みんなどうしてんだろう。犬、元気だといいな。
タイトルによると(DOES YOUR SOUL HAVE A COLD?)鬱って心の風邪らしい。“「心の風邪」に気づいたのは、いつからですか?”という宣伝文句が、映画を観る前も観たあとでもピンとこなかった。
映画を観てると、鬱というのは、生きていく上での何らかの違和感ってことなんだろうかと思った。鬱をのりこえるというのは、その違和感が消えるってこと?それとも気にならなくなるの? 折り合いをおぼえるってことだろうか。「主治医は自分だ」と言ってる人がいた。みんなすごく自分を研究している。

 
 
『精神』2008 日本
D: 想田和弘

岡山の精神科診療所にやってくるひとびとを監督がカメラを通して「観察」する映画。マイク・ミルズの映画もだけど、彼ら、彼女らが、カメラを向けられて語ろうと思うのはどうしてなんだろう。カメラの向こうには、誰だか知らない人が大勢いるわけだ。顔も見えない人に心のうちを語るって、なんかあるのかな。ツイッタァもそう?
ハルヒはカメラに向かって、今の自分のことをなにか喋るなんて無理だなと思った。ツイッタァも誰に話しかけてんのか、聞いてもらってるのか、顔見えないけど、むこうからもハルヒの顔見えないでしょ。映画は一方的に見られるんだから。被写体になる事を受け入れるのってどういう気持ちなんだろう。
『わたしはロランス』のなかで、女性として生きることにした男性ロランスが、作家になってインタビューを受けているんだけど、ロランスがインタビュアーに、どうして私を見ないの?と聞くと、それまで視線を合わせなかった彼女が「そんなに視線が大事?」って言う。視線は大事?心は見られる事を求めてる?
とにかくハルヒは、マイク・ミルズの映画の時も同様、なんでカメラに向かうのか、そればかり考えていた。

 
 
『聖トリニアンズ女学院』2007 イギリス
D: オリヴァー・パーカー/バーナビー・トンプソン W: ピアーズ・アシュワース A; タルラ・ライリー/ルパート・エヴェレット/コリン・ファース

ルパート・エヴェレットとコリン・ファースといえばイギリスのパブリックスクールの男の子たちの青春の終わりを描いた『アナザー・カントリー』でハルヒたちは男の子の美しさを見せつけられグレたわけだけど。この映画で、ふたりがかつて恋人関係であったって役どころがすでにおもしろい。といってもエヴェレットは女子校の校長カミラという、ばかでかい出っ歯のおばさん。そこは少女たちの秘密の花園なんかではなく、不良と性悪とビッチしかいない極悪女学院。カミラはじめ、先生方もネジが飛んでる。チンピラ招いて犯罪講座なんてのをやってる。
カミラの弟もルパート・エヴェレット。無自覚にひとり娘を愛してない無責任お父さんが、めんどくさいからその娘アナベルをカミラの学校に押し付けた。
まともだったアナベルもトリニアンズの女の子たちの洗礼を受け、たくましく順応していく。
AKBが『マジすか学園』なんてやってたけど、あれは一種、男の子の不良もののパロディだった。『聖トリニアンズ女学院』は、もとはイギリスの古い人気漫画。
ECC Cartoonbooks Club: Ronald Searle the Great Part 2
http://ecc-cartoonbooksclub.blogspot.com/2012/01/ronald-searle-great-part-2.html?spref=tw
映画にもなってたらしいが、それを現代版にリメイクしたもの。
女の子たちの不良っぷりが、まあ、おしゃれでかわいくて、それみてるだけでも楽しい。
学園内にはカーストがあるんだけど、どのカテゴリーにいる子も、共存してて面白い。
オタクはもちろん「GEEKS」リリー・コールがはまってる。おしゃれの事だけのからっぽギャルは「CHAVS」いい男にしか興味の無い性悪セレブ達は「Posh Totty」ゴスじゃないわ!「EMO」で、アナベルが似合うのは?ファッションショーがかわいかった。
彼女達が、共存しているのは、ひとえに、学園愛。いや、こんなろくでもない学校が無くなってしまったら、まともな学校に放り込まれてしまうから、それだけは阻止。学校存続の為にナショナル・ギャラリーへ!全生徒と教師あげて、大掛かりな絵画泥棒作戦を結構する。
トラファルガー広場に颯爽と現れるトリニアンズ達。かっこいい。
ガールズ・アラウドのテーマソング元気出る。
 
 

 
しかし、明らかに主人公はアナベル、タルラ・ライリーなのに、DVDのジャケットはセンターが金髪のだれこれ?になってる。
日本ではこのミーシャ・バートンが人気なんだろうか。彼女はOGとして、イ悪知恵伝授にちらっとやってくるだけ。
で、イギリス版はクールな寮長役のジェマ・アータートンがセンターになってる。

(トリニアンズの女の子たちもたぶん全員迷わず調査兵団入りで、巨人駆逐だ)
 
 
 
 
ハルヒマヒネマ
http://blog.livedoor.jp/nuitlog/
最近のハルヒの頭の中、日々をささげる王子様観劇日記
http://bookman.co.jp/serial-novel/boyslife/boyslife/

 
 
 
-ヒビレポ 2013年10月18日号-

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