働かないで暮らしていける世の中になってまいりました。  第4回

【「いとうしょうこ」さんの話】

 
山下陽光
(第11号で「ライターってカッコいい感覚どこ行った?」執筆)
 
 
 
 

こんにちは山下陽光です。前回、平日の通勤通学前の朝が一番ダサい時間だから朝ごはんを振舞うからみんなで食べよう。そうすれば、悩みも自殺もなくなるよーと書いたら、朝飯いつ食べるよ、食べよう!
本当は俺のような飲食業界の奴が言い出さないといけないことなのに偉い!と褒められまくりました。さて、今回は売春しながら放浪している方がいる!というとんでもない話や魅力的なインタビューをたくさんしてきたので、そのことを書こうかと思ったんですが、突然入ってきた良質な文章にめぐり合ってしまったので、そちらを先に紹介します。
シアタープロダクツ THEATRE PRODUCTS というファッションブランドをご存知でしょうか?
wiki紹介ですいません!
日本のファッションブランド、プレタポルテブランド。ファッションデザイナーの武内昭と中西妙佳、プレスプロデューサーの金森香によって2001年10月に設立した。
「劇場」をブランドコンセプトとし、エンターテイニングでパフォーマンスの強いプレゼンテーションが特徴。服の製作から販売までの全過程を「演出」と捉え、服そのものから着る人の時間・空間までもプロデュースすることに拘り、自らを「服を作る劇団」と称する。

そのシアタープロダクツをやってる金森香さんと僕との付き合いから!
茱萸 ( グミ )の舎っていう、ラブホテルを買い取って、男7人、女28人っていう、楽園のような男女比で共同生活して洋服作って、「なかしま」っていうお店を別府とか大分市内にいくつも持って、売ってた集団の事をツイッターに書いたら、金森さんから反応があった。
なんの面識もない、こっちが一方的に知ってるだけの著名人から反応があっただけでもうれしかったのに、会って是非とも話を聞きたいとまで言われて、会って話したらこれまた、意気投合して、高円寺の飲み屋3軒ハシゴした。
その後、今年出会った中で一番面白いとまで言われて、金森さんがシアターとは別でやってるNPO団体ドリフターズインターナショナルのサマースクールでファッションコースの先生までやらせていただいた。
 

 
さて、紹介をこの辺りにして、本編に入りたいんですが、働かないで暮らせる世の中になってまいりました。
音楽や映像や文章を読みたいという欲求は以前よりも強くなっていて、その欲求がインターネットの登場とYoutubeやツイッターで欲求を簡単に満たしてくれているような気がしているだけで、実際はYoutubeにある何億ページの中から自分好みの動画を探す検索キーワードにすら飽きている状態だと思います。まったく新たな検索キーワードに出会う為に、まったく興味が無いものをヤフオクで探すという修行のような事を日々やっております。
薄いガラスのコップが何の興味もないんですが、近頃値段が低くなってきました。
この誰も得しないような一行の情報のために日々ヤフオクをガン見して、何かに出会えるんじゃないか?
と思っている。

さて、話を金森さんに戻す。金森さんが10月14日にツイッターにこう書いていた

いとうしょうこ、に会った。(昨日)

「いとうしょうこ」さんのこと、知ってる方、よかったら、連絡下さい。

これで、まったく知らない名前だけど少し気になった。その後Facebookにこれから貼るみずみずしくて素晴らしい文章が書かれた、実際に起こった体験がまるで映画のような、小説のような出来事で、あったことを距離感を持って書いているんだけれど、ぐいぐいと中に入り込んでいくような日記に引き込まれまくった。これは一体なんなんだろうか? コレが、この人が金森香という人格を作った一番大きな影響を与えたのだとすれば、ツイッターが路上感覚になって突然話しかけられて会って話そうと言われたことも理解できる。しかもこの素敵な文章は友人の告知として消化されて流れて消えていく扱いだとしたら、拾い上げるしかないだろう。
とにかく、その文章を読んでみてください

 
 
【「いとうしょうこ」さんの話】 金森香
ところできょうは、「いとうしょうこ」さんの話です。

 わたしのID形成上あるいみ最もインパクトを残していまだ漂流を続けている人物のことなんですが、先日また突拍子もなく会社に電話がありました。電話でるやいなや、時を越えてスタートしたマシンガントークに、まるでこないだまで一緒にいたような気がわたしもしてしまうんだけれど、よく考えたらそれはもう20年も前のことです。

 彼女に最初出会ったのは、私が18歳のときロンドンに到着して間もなくのこと。確かロンドンのレスタスクエアの道端かパブかなんかで、誰かに「謎の一人芝居的大道芸を独自に展開しながら世界を放浪している日本人女性」ということで紹介され、へーそうなんですかあというかんじで接しているうちになぜか彼女のツアーで人手が足りないとかいう話になり→じゃあ手伝いましょうかと→若干テキトーに1ヶ月後フランクフルトのオペラ広場で待ち合わせをすることになり→まあ半信半疑→しかしドイツまで行く予定はあったので→ついでにフランクフルトにもいってみて→言われたあたりにぽつーんとその日ぼんやり待っていたら→果たしてふつーに「いとうしょうこ」さんは現れたのでした。

 こうしてわたしは、人生初のアルバイトとなる「大道芸の制作手伝い」をして一夏を過ごすことになり、古い給水塔のある住宅街にあった謎のでかいメゾネットマンションで、フロア中に雑魚寝している大勢の他人と日夜、生活をともにしました。親切なゲイやレズビアンの方々、ハーリークリシュナ的な信仰をもっているヨーロッパ人、独特のモラルをもっているムスリムの大家族(マレー系/なぜかおばあちゃんまでいた)、ウィーンの美術館に収蔵された部族の羽をとりかえそうと、欧州の森に陣を組んでいるアメリカンインディアン(「いとうしょうこ」の説明による)とか、日本マニアの白人、なんらか火を吹く人もいたような。まさに、多様なジェンダー/宗教/国籍の方々の多様なモラルのるつぼになげこまれ、まさにカルチャーショックを受けまくったのでした。

 当時のことは思い出してもヘンすぎて現実味がないのですが、まあ、とにかくこの「いとうしょうこ」さんは、じつに荒唐無稽な現実を生きていらして、どこまでがほんとうでどこまでが彼女の想像なのか、あるいは他人の想像も加熱処理して現実にもちこんでいる節もあり、しかしそれがホントかどうか、などはかなりどうでもよく、彼女といると、世界は著しくサイケデリックになるのでした。「生き延びる」という切実な事態の真中心を見据え、生死やトラウマが鮮やかにあぶり出され、とたん全体が絢爛になるようなかんじです。まあ、一緒にいると史上最強ややこしいことに巻き込まれるからほんとーに困っちゃうんですが、そのぶん、生きているということの、壮絶さと精彩に気づく。だから、会わずにはいられない。というようなへんな魅力のある人です。

 ーわたしはそのころ実際、本気で都市の機能を最大限活用するハードでラフな生活をし、 生きることは冒険だ、体力の限りどこまでも自分を差し出したい、だからタフでありたい、多様な人間に好奇心と敬意を持っていたい、なと思うにいたりました。いまのわたしがあるのは、やっぱり「いとうしょうこ」さんがいるからです。

 フランクフルトの広場、お客さんがいるときもいないときも、雨でも風でも槍でも、演目の中にでてくる、彼女自身の自殺した妹の名前をさけびながら、右へ左へ走り回っていたしょうこさんの姿が目に焼き付いて います。路上の外国人にとってはその言葉の意味も重みもわからないだろう、そのディスコミが、人と人の関係性のありようの一つ。それでも叫び続ける名前がある。悼み続ける。死者とともに生き続ける日々がある。当時のその公演は、それが初演だったようですが、このたび来週、形をかえて上演されるみたいです。

 ちなみに、これまた話がよくわかんないんですが、「たまたま路上で出会った多摩美時代の同級生に声をかけられ、その作品を「紀伊国屋ホールで公演をすることになった」そうです。(どこまでも路上ベースな人です。)

 今回の演目がどんなものかわからないけど、「いとうしょうこ」さんの紹介をしたくて文章をかきました。別れたら次会えるのか、もうこれで最後なのかわからないから、このひ、10月28日は、会いにいきます。様々な国の路上で、「いとうしょうこ」さんが芝居をしている風景を想像しに、各種の道端を感じにいきます。

 みなさんももしよかったら。
(なんせ”道端”ですから、勇気をもらえるか、混乱させられるか、まったく興味もてないか、そんなかんじだとは思いますが、よかったら。)

* こないだ久しぶりにあったので、いろいろ話をきいたうち、ちなみにいままでどこに住んできたのかきいてみたんですが、
「ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、カナダ、ギリシャ、エジプト、ポーランド、ポルトガル、チェコ、スロバキア、ルクセンブルク、スペイン、スエーデン、デンマーク、ノールウェー、トルコ、インドネシア、オランダ、バチカン、フィンランド、ハンガリー、イタリー、メミャンマー、メキシコ、モナコ、モンゴル、モロッコ、ラオス、マレーシア、ロシア、スーダン、ドバイ、中国、ベトナム、タイ、韓国、マレーシア、シンガポール、ブルマー、オーストラリア、カンボジア、スイス、ニューランド、パキスタン、フィリピン、ブルガリア、ベルギー、日本です。」とのことでした。

*上記のような各所で、芝居や大道芸や、あとはアクセサリーを作って販売、などしているのだと思う。いまはベルリンで家を買っていろんな人に貸したりしてるらしいですが、さてどんなところなのだろうね。

* 予備校時代は村上隆さん、学生時代は松井るみさん、最近では沢木順さんなど、不思議すぎる交友関係を築いているようですが、本当に謎すぎてよくわからないことだらけです。

http://www.kinokuniya.co.jp/contents/pc/label/20130910113000.html

 
 
 
どうですか? なんなんですか、いとうしょうこ。
すばらしすぎるし、好きな事しかやってない! 働かないで暮らすを実践しまくって移動しまくってる。
それでいて誰も知らないけれどすばらしくて、良いのか悪いのかすらわからない。
コレはなにも調べずに3800円払って紀伊国屋ホールに行ってみます。
人生を変えるような出来事ってのはこうやっておきるのか、はたまたまったく面白くないかもしれない。そのドキドキのために今もドキドキしています。

働かないで暮らせる世の中についての記事とは少し違いましたが、なんだかとんでもないことが起きてるきがします。

 
 
茱萸 ( グミ )の舎
http://kakurememo.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-1cb1.html

 
 
 
 

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-ヒビレポ 2013年10月24日号-

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