展示される生きものたち 第6回


植物園に行こう・京都府立植物園

 
日高トモキチ(生きものなんとか紀行連載中)
 
 

植物園というのはいかにもスタティックな展示施設である。
なんせ相手は山川草木のたぐいだ。トリフィドの生体展示でもない限り、目に見えて動いたりすることはない。歩き回ってヒト襲うたりもしない。
あえて言うなら一週間や一ヵ月、春夏秋冬のスパンで動く。
季節の変わり目、とくに春先は日めくりで花々はその景色を変えてゆく。

したがって植物園で生命のダイナミズムを実感しようと思うなら、1度や2度の訪問ではものたりない。
ぜひ定期的に足を運んでその移ろいゆくさまを見届ける定点観測をしたい。

2012年春に京都精華大で講師職を拝命し、週イチで京都に通う身になった。
しばらくは通うだけで精一杯だったが、そのうち多少の余裕が出てくると”通勤途中”に植物園があることに気がついた。
 

京都府立植物園(遠足ちびっこ付き)
 

 

京の街を縫う碁盤の目の道筋のうち、京都駅を貫いて南北に伸びる烏丸通。
その真下を走る市営地下鉄烏丸線の終点、国際会館が大学の最寄駅になる。
本稿と直接関係はないが、1997年に国連が温室効果ガスの排出規制等を策定した有名な京都議定書は、ここの国際会館で採択されたものだ。
んで、その国際会館の三つばかし手前に北山という駅があり、京都府立植物園が位置しているのだった。
出口から徒歩1分というアクセスの良さだ。これを途中下車して寄らない手はない。
 
 
アネモネ/苧環/はんかちのき…春〜初夏の花々
 
 
京都府立植物園、1924年の開園は何を隠そう日本最初の公立植物園である。
公立じゃない植物園、たとえば向島百花園なんかは1805年の開園だもんで(のちに東京市に譲渡され、現在は公営)。
動物園と違って、小金持ちがわりと気軽に道楽で造れるのが植物園のアドバンテージでもありビハインドでもある。

前述の通り京都市街からはやや離れて土地が確保しやすい立地条件でもあり、24ヘクタールの広大な土地に12000種、約12万本の植物が植わる。
いわゆる東京ドーム6個分の広さで、これは植物園としては相当に広い敷地面積である。
温室やら洋風庭園やら梅林やら水琴窟やら何やらかんやら本気で広すぎてきりがないので、詳しい情報はどうか公式サイトをご参照いただきたい。
http://www.pref.kyoto.jp/plant/
 
 
温室外観
 
 
よく団体に出くわすものの、多少の人出で人口密度が増すレベルの面積ではない。よほどのことがない限りはゆったり見て回れる。
雰囲気はいいしデートコースなどにも向いているように思えるが、例によって「行ったカップルが別れる」伝説があるそうな。そういえば前回のとしまえんにも同じ噂がある。
まあ冷静に考えれば一生添い遂げるカップルより途中で別れる関係の方がはるかに多いのは当然で、ちゃんと統計を取ればすべてのデートスポットは同様の誹りを免れないはずだ。
なお、くだんの都市伝説を教えて下さった京都におすまいのSさん(ねこ好きナイスガイ)によれば、
「したがって別れたてほやほやの女子がよりどりみどり」なのだそうである。
うむ、なんとポジティブな。暗黒都市伝説の舞台もなんとなく夢の園のような様相を帯びてくるではないか。
 
 
温室は通年楽しくてあたたかい
 
 
もっとも実際には平日午前に植物園をうろうろしているのはだいたいカメラ好きのおじいさんばかりである。
一眼レフを買ってマクロレンズで花を撮ってみると何か写真が上手くなったような気がするもので、だいたい皆が通る道でございますよ。
私も他人様のことはいえません。学生の頃よく神代植物公園行ってましたけん。
トラブルの原因になりがちな三脚の扱いにだけは気をつけてくださいね。
 
 
向日葵/桔梗/るこうそう…夏〜秋の花々
 
 
さて私が植物園に足を運ぶ最大の理由は、じつは植わっている花々メインではない。
特に植えられているわけではないが生えてきてしまう植物やきのこ、そして保全された環境に集う虫や鳥たちが楽しみで通っている。
京都府立植物園は広いので、そういった余計なオプションがむやみやたらと豊富で本当に嬉しい。
 
 
高さ30センチに及ぶマントカラカサタケ
 
 
東京近郊ではけっこう山の方行かないと見られないナミハンミョウに毎年会える幸せ
 
 
ウツギの花にやってくるミツバチ
 
 
ただ、学校のついでに立ち寄っているため盛夏と年末年始、あと初春は授業ありまへんねん。
昨冬はだから雪景色はついに見られずじまいだった。
今年は北海道でも雪が早かったみたいだし、ちょっと期待してるんですけどね。

植物園も楽しいよ、っていう今回のお話。
別れたてほやほやの女子はともかく、おじいさんおばあさんとは容易に知り合えます。
 
 
シジュウカラもお待ちしております
 
 
 
 
-ヒビレポ 2013年11月9日号-

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