昭和歌謡宅急便 第1回

田中稲(第8号で「K文学館の散歩者」執筆)

みなさん、はじめまして。大阪でライターをしている田中稲と申します。
今回、メルレポで紹介させていただくのはズバリ「昭和歌謡」。
私の大阪でのスットコドッコイな仕事ぶりと交え、
濃厚なお土地柄を見事ドラマティックなメロディーに乗せた名曲を
ご紹介できればと鼻息フンフンでございます!

さて、記念すべき初回は、ご挨拶代わりに、私の出身地である「大阪」モノをば。
都市に憧れて背伸びはするものの、どうしても抜けきれない泥臭さや濃い人情を、
グチグチダラダラと呟く大阪弁がそりゃもう愛しくてたまんないのが「大阪歌謡」の魅力だ!

「アンタ、アホや」
「私からよう言わん」

なぜか歌詞の内容がほぼ捨てられ系。
しかも、ヒロインは恨み言を一人呟きながら耐える! 待つ! もしくはキレイに身を引く!!
特にやしきたかじんの歌う大阪女。
「やっぱ好きやねん」「あんた」「なめとんか」は必聴。

彼のワイン声が表現するヒロインは、ワンレン(古いですかすいません)をクイッとかきあげ、煙草をふかしながら、ヤンチャ極まりない男を許し続ける「超いい女」しか全く思い浮かばん奇跡の仕上りになっております。

おらへん、おらへん、こんな女。

現実に街を見てみると、捨てられたら破格の手切れ金を請求しそうな生命力たっぷりのオバハンの方が圧倒的に目に付くって。
中には宇宙人が到来しても大阪のオバチャンだけは生き残るという説まであるがな!

…てな事を言いつつガッハッハと笑い飛ばすそこの人、いやいや、ちょっと待てい。

なにを隠そう私もれっきとした大阪女。ちょっと一言言わせていただこう
世間一般で「厚かましい」「死にそうにない」と言われている女ほど、かげで男を立て、泣いているのだ。
別の男に甘え、相談することもせず、「泣いたらアカン泣いたら」と一人でグッとこらえるその姿はまさに歌謡曲。だからこそ大阪歌謡は素晴らしく、そして泣ける!!

戎橋、通称「ひっかけ橋」から見えるグリコのバンザイ兄貴や凍った笑顔が印象的な食いだおれ人形、ホンモノなら100人くらいで食えるであろうでっかいかに道楽のかに看板。
どれを取っても歌詞の素材として申し分無しの極彩色都市、大阪。

観光に訪れる際は、その鬱陶しいくらいの艶やかな大阪歌謡をお伴に、是非。
町が、大阪弁が愛おしく感じます!
–ヒビレポ 2012年10月3日号–

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