散歩がてらに部屋を探す 第7回

占い編~俺の手相完全公開~

 
半澤則吉
 
 

 
 
前回のあらすじ
超優良物件を引き当てたものの、さまざまな「縁起の悪さ」から首を横に振った半澤。あの日、あの雨の日、家に帰ってからは失恋に等しい喪失感を得、色々と混乱。おかしなテンションになってしまった彼は何をとち狂ったか占いの館に行くことを宣言した。
 

と、言う訳で今回は散歩がてらに占ってもらう。めざまし占いだけに信心を傾けてきた身としては後ろ髪引かれる思いだが、せっかくなのでちゃんとしたところで見てもらいたい。ちゃんとした、と言ってもずいぶん近所、中野ブロードウェイ内。散髪屋とまんだらけに寄ったついでに、ふらっと占い屋に入った。かなり勇気が必要だったが部屋はイメージしていた通り薄暗く、狭く、あまりのステレオタイプさに安堵。(さすがに今回は占い師とマンツーマンのため写真は撮れず、店内写真はございません)
先生は40代くらいの細身の女性、タロットが専門らしいが僕が引越しの件を話し出すと、ちょっと戸惑った。そら、そうだろう。ここに来るのは女性が多いだろうし、多くの場合相談テーマは恋愛だの結婚だのそう言った甘やかなもののはずだ。もちろん、仕事や健康の悩みもあろうが第一声「引越し」と唱え始める髭面の男に先方もさすがに面食らった様子。挙げ句、「鬼門」「裏鬼門」などぼそぼそ専門用語を口走っているし…。先生は一度手に取ったタロットカードをテーブルに置き、背後にある書物の山からおもむろに気学の本を取り出した。
 

 

①気学
気学とは、生年月日で決まる星の法則を見て占う方法。「一白水星」、「五黄土星」、など四文字の星の名を聞いたことがあるはず。僕は「八白土星」という星らしく、なるほど今年はあれやこれやと動かない方がいいらしい。細木数子が広めまくった六星占術でも「大殺界」。いかにもダメそうな運気なので(言葉を知っているだけで詳しくはないが)、物件は年内に決めても動くのは来年と思っていた。先生に聞くと、
「まあ、そっちの方が無難でしょうね。今年は静かにしていてください」
 とのこと。あ、そうですか、今年旅行とか転職とかバタバタしたのですがね…、とは口にしなかった。また向こう数年は良かったり悪かったりが続くので一喜一憂しないでください、とも言われた。なんか切ねえなあ。

②手相
先生はタロットが専門だそうだが、占い師たるやオールマイティに何でもできないとダメなのでしょう。定番中の定番、手相をみてもらった。手相くらいおなじみの占いだとさすがに興味のない僕にも多少知識はあったし、プロでなくとも詳しい人に何度かみてもらっている。だから結果がどうなるかも、ごめん正直想像できた。
 
 
左手の手相
 

自慢じゃないが僕はよく手相を褒められる。まず生命線がはっきりしておりそこそこ長い。さすが、中学校の卒業文集のアンケートで「長生きしそうな人」クラス2位に輝いただけのことはある。(ちなみに「将来成功しそうな人」、「早く結婚しそうな人」などのランキングは圏外だった)また感情線が長いというのも素人目に見ても分かる。まず、言われたのは直感でものごとを決めるタイプですね、ということ。いや、むしろ優柔不断ですが、と返したが言われてみれば勢いやテンションで決定してきた事柄も少なくない。なので、物件に関しては直感を頼りにしても大丈夫とのこと。方位うんぬんを重要視すべき人もいるが、むしろ僕は自分の意思でもって決めて良いとのことだった。ならば先回のお宝物件は尚更惜しいが、最終的には直感で決めたわけで、まあナイスな選択だったと自己合理化。また生命線から上に出る線についても触れられた。幸い結婚年齢を示す線らしい(細いけど)。手相によると結婚は35歳くらいとのこと。あと5年も先なんだけど…。気になるお相手は近しい友人などからの紹介じゃないか、とココにきてかなり具体的な一言。今後、近しい友人とやらに期待しないわけにはいかない。頼むぞ近しい友人!
 
 
右手の手相
 
 
左手が先天的運勢ならば右手の手相は後天的なものと言われている。こちらもお褒めの言葉をいただく。
「独特ですが、キレがありますね」
 と、どこぞの純米大吟醸みたいな評価。「運命線が一途で感情線が己の世界観を持っている」と言われた。よく分からないが自営業はまあ向いていると言われ、安心。が、悪い点もちらほら発覚した。黒で囲った親指下の膨らみが少ないらしい。エネルギーが枯れているというのだ。ここはパワーが溜まるところ、元気がないとまずいらしい。
「体調あんまり良くないんですよね」
 と僕がボソリ言った直後の解析だけあり後出しジャンケン感はあったが、まあその通りなのだろう。また赤い囲み、生命線
上にできている楕円形の島は良くないことの暗示らしい。
「でも40~50代になってからなんで大丈夫ですよ」
先生はサラッと言ったが、大丈夫じゃないだろそれ。

③タロット
小さい頃タロットカードを持っていた。水木しげる原作のアニメ「悪魔くん」の影響に他ならなかったが、何となくタロットの意味はわかる。だから自分が取ったカードを見て、正直がっかりした…。3枚選んでください、と言われ僕が選んだのは

1:たくさんのコインと老人ー逆位置
2:皇帝っぽい人ー逆位置
3:お金持ちっぽい人ー正位置
逆位置ばかりで悪い予感しかしなかったけど以下のように解釈していただきました。

1:取り急ぎ家庭を築く運はない。→OKOK、俺結婚の予定なんてないかんね目下。勝負はほら、5年後だから。
2:仕事を妨げる人がいます→うーんそれは困る。しかも、いると言う情報だけで対応策はなし。
3:パトロンとまではいかないが応援してくれる人もいます。→あざーす、パトロンになってくれてもかまわないっす。
と、かんばしくはないな。あれ、もはや引越しの話、していないじゃないか。

以上、30分3000円、なかなか充実の内容でした。分かったことは「直感でいけ」とのこと。いろいろ気になる点も多いが、最後は自分頼みだ。何も解決はしてないものの、占ってもらって少し気は晴れた。今後は自分の感覚を信じてバシバシっと物件を探していこうと思います。つうかそろそろ本腰をいれないとまずい。いつの間にか師走がすぐそこに迫っている。

 
 
 
-ヒビレポ 2013年11月13日号-

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