通りすがりのアクアリウム・かすみがうら市水族館
日高トモキチ(生きものなんとか紀行連載中)
霞ヶ浦に行こうと思ったのだ。
深い理由はない。今年の夏に車を買い替えて、どこか疲れない程度の近場で適当なドライブ先はないかと探した結果である。
霞ヶ浦は御承知のように関東地方の東の方になんかの飛沫っぽい形で広がっている湖だ。
なんかの飛沫はしかし、面積としては琵琶湖についで日本第2位をキープするでっかい水たまりでもある。
霞ヶ浦 「護」の画数を忌避したかったのはわかるけどうっかり最初タテに読んだ
子供の頃は正直湖を舐めているところがあった。川や池や沼はいかにも身近で楽しい。海はスケールが大きい上イソギンチャクがいて嬉しい。
しかし湖というのはどうにも中途半端な気がしてならん。大体へんな遊覧船が浮いてて野暮ったいし、淡水の分際ででけえ面しやがって実になまいきだ。帯に短し襷に長しとはああいう存在を言うのだろうと軽く片づけていた。不遜な子供である。
ところが先年訪れた琵琶湖がそれは素晴らしく、日高トモキチここに40年来の偏見をかなぐり捨てるに至った次第。日本一大きな湖があのように素敵であれば二番目もそれなりに期待が持てようというものだ。
わりとその程度の動機で常磐道に乗った。地図をみると左の方の飛沫、西浦の真ん中へんに水族館がある。きっと霞ヶ浦の生きもの類を展示しているにちがいない。せっかくなので立ち寄ってみよう。
かすみがうら市水族館
こじんまりとした佇まいはとしまえん昆虫館を多少拡大したような雰囲気である。エントランスは両側の出入口が銭湯みたいな塩梅になっており、番台に該当するスペースにはちゃんと番台がいた。
アルダブラゾウガメのアルディーさん(38)
Q:せまくないの? A:アルディーはせまい所が大好きです。
アルダブラゾウガメを擁する霞ヶ浦の生態系おそるべし。オラなんかワクワクして来たぞ。
入場料は驚きの大人ひとり310円。小規模な公営の施設とはいえこれは破格だ。
決して広くはないが310円で公開するのはもったいないレベル
地味に衝撃を受けたのはタッチプールである。最近の水族館ではおなじみのコンテンツで、普通はヒトデやらナマコやら磯の住人と触れ合うアレだが、かすみがうら市水族館はちょっと相手が違う。
淡水魚ーにさーわれるよ
フナさわり放題はなかなか盲点だと思う。さわって嬉しいかどうかはともかく新機軸だ。ちなみに私は特に気が向かなかったのでさわってないです。
そのようなふしぎタッチプールも含め、全般に規模から想像される予想をはるかに超える充実ぶりなのである。マッドパピーの生体展示とかオラあまり見たことねえだぞ。
国産淡水魚の王者イトウさん 美しいイワナの群泳 各種爬虫・両生類
そしてうっかり俺様のテンションを振り切る驚愕の3段組水槽・プチ昆虫展。
ヘラクレスやオオクワガタ、ニジイロクワガタが元気にうごめく2段目はよろしい。私が瞠目したのはいちばん上の段に並ぶ水槽である。
「サソリモドキ」「ダイオウサソリ」「ウデムシ」「キングバブーンタランチュラ」
ひとつのこらず昆虫じゃねえ。 あと世界三大奇虫のうちふたつ(サソリモドキ・ウデムシ)がここにおる。 ウデムシとかレポ本誌連載でわざわざiZooに見に行ったやつやー。
戦慄のプチ昆虫展 右はウデムシとサソリモドキ
なお一番下の段はホシガメなので昆虫は本当に真ん中の段にしかいない
すさまじいコストパフォーマンスに大満足し、かすみがうら市水族館を後にした。
ノープランでぶらりと立ち寄る、このような旅先でのイレギュラーな出会いもまた楽しいものである。
そんな感じで締め括ろうと思ってなにげなく検索してみたら、去年の2月にDPZの平坂さんが訪問してた。
http://portal.nifty.com/kiji/120210153450_1.htm
うわああ館長さんにたっぷり説明してもろうてはる。タツノオトシゴそんなに力入れてたのか。いろいろ気づかなかったよ…。
結論。せっかく行く以上は多少の予習をしておいた方が楽しめます。あるいは、悔しがるくらいなら後から検索とかするな。
いや、じゅうぶん楽しかったんだけどさあ。
リベンジする機会あるかな。うむむむむ。
霞ヶ浦ふれあいランド虹の塔から望む霞ヶ浦大橋 水族館は橋の向こうだ
公式サイトによると、2013年9月からはダイオウグソクムシの展示を始めたらしい。
http://park.geocities.jp/tkytp289/
いろいろアグレッシブだかすみがうら市水族館。日高は応援しています。
-ヒビレポ 2013年11月23日号-