イメージの詩 第33回

土曜日の午前帯

 
 
えのきどいちろう
(第12号で「山田うどんの青春性、そして僕の非・青春性」を執筆)
 
 
 
 今クールはラジオについて書く。何しろ福岡県久留米市の中学時代から始まる当連載・第1回のネタはラジオ(吉田拓郎の『バイタリスフォークビレッジ』)だった。それくらい僕はラジオ好きなのだ。
 今クールは主として僕のラジオ出演歴をたどりながら、その都度、どういうアイデアやコンセプトを盛り込もうとしたか振り返る感じになるんかなぁと思う。

 だけど、今週はウォーミングアップだ。現在、リスナーとして楽しみにしている土曜日の午前帯について書きたい。僕はもちろん仕事を通じて知り合いの多い文化放送、TBSラジオを聴く機会がめっちゃ多い人間だ。「知り合いが出る番組」はたぶん倍くらい面白い。人となりや芸風を知ってるせいだけど、もっと単純に「こっちがのんびり休んでる盆やら正月やらに知ってるヤツが働いてる」幸福感も大きい。

 で、そのパターンじゃなく、純粋にリスナーとして楽しみにしているのが週末のNHK-FMなのだ。特に土曜日の午前帯だなぁ。ピーター・バラカンさんの『ウィークエンドサンシャイン』からゴンチチの『世界の快適音楽セレクション』という流れは、完全に僕のゴールデンタイムです。
 

 

 僕ね、NHK-FMってちょっと遠ざかってたんですよ。それがこの何年、復活した。週末は夜も『ジャズトゥナイト』、『セッション2014』って2大ジャズ番組があって、大変充実している。特に『セッション○○』は『セッション1978』とか、そういう頃から聴いてたな。ジャズのライブ番組なんだよ。

 NHK-FMの強みはアクセスエリアが日本全国ってところだね。久留米の友達とも、岐阜県揖斐郡の友達とも『ウィークエンドサンシャイン』の話ができる。こう、地方に住んでる感覚なんだよ。NHK-FMは貴重な音源であり、情報源だったもんなぁ。21世紀になって情報環境がガラッと変わって、僕自身もう地方都市に住んでるわけじゃないんだけど、久々にNHK-FM復活したらすごくいい感じだったんだ。音楽に触れるよろこびだね。あ、ラジオを媒介にした音楽との出会い方はやっぱりいいなぁと思った。

 『ウィークエンドサンシャイン』も『世界の快適音楽セレクション』も(テーストこそ違え)非常にオーソドックスな音楽番組だ。音楽をかけて音楽について語るだけ。それがホントにいいんだよね。ゴンチチは実は知り合いで、僕にとっては文化&TBSパターンとの融合(?)でもあるんだけど、『世界の快適ー』はトークや芸風よりやっぱり音楽を楽しみにしている。

 あ、ちなみにですけど、僕が初めて持った自分の番組『ダイアモンドの頭』(当時の呼称で言うとFM東京で月イチ、深夜1時間やってた収録番組。若者番組枠「ラジカルミステリーナイト」のプログラムのひとつだった)で、かかってた音楽は100パー、ゴンチチの2人が毎回、テーマを立てて選曲してくれてた。つまり、『世界の快適ー』のプロトモデルなんですよ。しかも、スタジオの相方がナンシー関だもんな。87年とか88年あたり。

 僕の現在のライフスタイルは、週末どこかへ出かけることが多いんだね。春から秋にかけては主にJリーグ、秋から春にかけてはアイスホッケー。だから聴けない日のためにラジオサーバーを買って、留守録もしてるんだけど、僕が気に入ってるのは出先で聴くケースなんだな。例えば金曜夜に新潟駅前のホテルメッツに前泊したとしましょう。そうすると土曜午前のゴールデンタイムはホテルの部屋で楽しむことになる。

 ま、実際は出先で聴く頻度がいちばん高いのは土曜夜の『ジャズトゥナイト』なんですけどね。例えば真冬の日光のペンション・レスカルで、あるいは釧路プリンスホテルや八戸ワシントンホテルで、いつもの番組にアクセスできるのはうれしい。リラックスして、切り替えられる。まぁ、切り替える必要があるのは土曜日のゲームを失ったときだけど。

 NHK-FMじゃないけど、山下達郎さんの『サンデーソングブック』(TFM系)も同じよろこびをくれるなぁ。ただ日曜午後ってことか、「サンソン」は(録音再生ばっかりで)いっぺんもオンタイムで聴いたことがない。

 僕が強調しておきたいのは、毎週楽しみしてる音楽番組があるのがどんなに幸せかってことなんだ。で、育ちが出るっていうか人間そうそう変われないっていうか、この年齢になって、例えば飯田橋ギンレイホールで名画座通いが復活したり、ラジオの音楽番組楽しみにしたり、結局、学生時代くらいのライフスタイルに戻ってるんだな。

 
 
 
 
似顔イラスト/日高トモキチ
 
 
 
-ヒビレポ 2014年1月6日号-

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